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春風駘蕩

図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着

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SS掴まれたのは [ 後編 ]

ども♪まるちゃでし


前回に続きまして、後編です。

オリキャラ独白部分からお話は始まります。
え~何よ!この子!と書いてても思っちゃったけど、こういう人は少ないくないかな?と思います。
これぐらいの年頃の頃に、私もすごく悩んで迷ったので、ちょっとあの頃の自分も入ってるかもしれません。

ではどうぞ。

拍手[101回]

☆☆☆


[ 後編 ]


救護室から出てきた彼女はため息をついた。

「そういう事って事は・・・そういう事かぁ」

先ほどの手塚の言葉を口にしていた。
ポケットから携帯をだしてコールする。

「あ、私です。はい、捻った所は冷やしましたので。
はい、大したこと無いそうですのでそのまま業務・・・あ、わかりました。
じゃあ先にお昼いただきます。いえありがとうございました。」

私にしてみたら、一世一代の出来事だった。
考えごとをしながら階段を上がってたら、いきなりお腹にずしりと何かが当たってきて、堂上二正に…堂上二正に腕を掴まれて引っ張られた。
そして、ぐいと後ろから腰を強く押され、気がついたらフロアの床に膝と手をついていた。

『お、落ちるかと思った・・・』
膝も手も痛かったけど怪我は無かった。もちろん足も・・・捻らなかった。

「あまり頭は動かさない方がいいね。タンカ持ってきて救護室に運んでくれる?」
小牧二正の指示で運ばれていく堂上二正。
同じフロア担当の先輩が私に駆け寄ってきてくれて
「大丈夫?怪我は?」と聞かれて、とっさに足を痛めたふりをしてしまった。

私も、もう28で・・・親から見合いを勧められて、その相手と数回デートを重ねている。
相手は優しいと思う、勤務も病院の事務員と堅い仕事だし。
嫌いじゃないと思う・・でも・・・やっぱり・・・
秘めたるその思いは堂上二正へのもので・・・
はぁ・・・。
救護室には私以外に誰も居ないかったから・・・つい・・手を握ってしまった。
たくましい腕にごっつい指。憧れの二正の指。

きゅっと握りしめた時
「―かさ…は―」堂上二正がつぶやいた。
え?それって笠原さんの事?と思ったとき、
その本人が現れるとは思わなかった。

とっさの事で、ついその手を体で隠すように抱きしめちゃった。
笠原さんになにか言われるかと思ったら、そのまま走りだして出ていっちゃって。
にしても手塚くんの言い方!
「はぁ・・・好きだった人の口から、別の女性の名前を呟かれちゃった・・・厳しいわ」

もう一度携帯を開いた。

「あ、もしもし私です。今話しても大丈夫ですか?
あの、今度はどこにいくか決まってなかったですよね?
はい・・・えぇ私・・・実はみたい映画があって・・・」

こうして私の恋は告白未遂で玉砕。
といっても見合いの相手を半分受け入れながらの卑怯な恋。
でも自分で終わらす事は出来なくて。

「ん~よっし!がんばる!」

彼女は軽やかに食堂のドアを開けた。


一方彼女が去った救護室では、手塚が固まっていた。
彼を固まらせた原因は、再び小さく呟かれた寝言だ。

「ん~~~かさはら・・・ん~~~~」

手塚は固まりながらも冷静に考える。

『その1。堂上二正の夢の中で、笠原がミスをして苦しませている』

『その2。夢の中でも、普段叱り慣れている方をただ呼んでいるだけ』


「・・・・・その1だな。うんそうに違いない。その3は、絶対にないっ!!」

その3は脳裏に文章に改めて立てるのもおこがましいっ!

「手塚?笠原さん?まだいる?」
カシャっとアコーディオンカーテンを開けて小牧が顔を出した。

「あれ?なに?どうしたの?」固まったままの手塚の表情は硬い。
小牧にはなにかあったんだなとすぐにわかる表情だった。

「い・・いえべちゅに」
かんだ時点で何かあったのは、さらに丸わかりだ。

「ふぅん。笠原さんは?」
ベッド脇にいた手塚に近づいて小牧がたずねた。
「ん~~~かさはらぁてぇだせ・・・」
この時小牧の目がキラリと光った。
説明をしようとする手塚を手だけで制し、そっと小牧が堂上の手を握った。

「きょうかぁん起きてくださぁいよぅ~~~」
小牧が高めの声で堂上に囁いた。
パチッと堂上の目が覚めた。

「あ、起きた」
と言う小牧は、しっかりと両手で手を包み込むように堂上の手を握っていた。
「おまっ!なになってんだよ!!」
「え?だって手を握ってくれって寝言で言ったのは堂上だよ~ぷぷっくっ!」
「いいからもう手ぇ離せっ!!」
「くくくっ!あ、笠原さんはどうしたの手塚?て~づぅ~か?」
「・・・・・・あっはっはいあのいいえ・・だからっ出ていきました!ダッシュです!!」敬礼をする勢いで報告した。
「なんだアイツなんかあったのか?」
「いえ特には何もありません!」
「何もないのにダッシュは有り得ないよね?」
こういう時の小牧の笑みに、沈黙を守れる人が居るだろうか。


「あのっ堂上二正が助けた女子が先に来ておりまして、女子が二正の手を握っていたのをみて逃げ・・・出したと・・思います!」
「だってさ・・どうする?」
今度は期待に満ちた笑顔を堂上に向けた。
「・・・・・小牧と手塚は今から昼休憩にはいれ。」
「笠原さんは?」
「見つけしだい休憩だ。以上。」
「班長が探しに行くんだよね?」
「以上だ!」
着崩して寝ていたのを整えて、堂上は二人より先に救護室を出た。
勿論、小牧の上戸に送られながら・・・。



ーーーあたし、なにやってんだろう。
こんなに悲しくて辛いのに・・・
郁は先ほどからとても立派な腹の虫が鳴いて止まらないことにも嘆いていた。
おかげで涙はもう乾いている。

「はぁ~こんな時にまで鳴るかなぁ~私の腹の虫・・・。」
この声に答えるように腹の虫が鳴り響いた。

ぐっきゅるきゅるきゅぅ~~!!
「ぶはっ!お前!」

え?!とその声に振り向くと、そこには堂上が立っていた。
「なななななんできょーかん?!」
「ほら、昼を食べる時間が無いぞ」
ほら!立て!と腕を組んだまま郁を見下ろしている。
「え?あの・・身体は・・」
といいながら立ち上がると、堂上もさらに近づいてきたのでものすごく近くに堂上の顔がきて、すっと手を伸ばしてきたので、郁の思考は停止した。
堂上は郁の胸ポケット入れているボールペンのチャームをいじっている。
それは白い花で、少しカモミールに似ていたので、この頃の郁のお気に入りだ。
「これ、これもカミツレか?」ゆびでチャームをいじった。
「いえ、多分違うと・・・」
近すぎる堂上に、郁は顔が上げられない。
そらしていても、堂上がこちらの顔を覗きこんでるのが判る。

『しっ!視線!感じちゃってます。どうしよう・・・。』と別の意味で泣きたくなてきている。

「カサハラ・・・カミツレのお茶・・・いつ行くんだ?もう探したか?」

「え?」思わず顔を上げてしまった。絡まる視線に胸がまた熱くなる。

「探しておけよ・・飲みに連れてってくれるんだろ?」
お願いですから、そんな顔で笑わないで。

「・・・ほら、昼飯行くぞ。」
そう言うと、郁から離れてさっさと歩き始めた。
「あ、はっはい!おなかぺこぺこです!」
「だろうなぁ」と振り向いた堂上は、またしても笑顔で
「教官言わないでください!」といいながらも、胸の熱さはまずばかり。

そして、先ほどまでの不安や嫉妬が綺麗に無くなっていた。


『あ、あたし!お茶のみいく前に心臓停止で死ぬかも!!』

掴まれたのは、誰の心。

 
                      END

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旦那もち子もち主婦。 明るい自閉症児家庭を築いている天下の器用貧乏。 心は16歳と言い切る図太さをもつ。 基本的にアレルギー体質。 右と左を間違える。 「ず」と「づ」の使い分けが巧くない。 埃じゃ死なない。喘息にはなるけど。
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