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春風駘蕩

図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着

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SS 入寮の日~郁Ver~[1]


変わって、こちらは郁ちゃん目線。
三番目のお兄ちゃんがでてきます。





「おい!郁!おきろ!!い~~く!!
このデコスケ!!」
パチンと軽い音とともに、額に痛みが走った。

「ん~~!ちぃ兄??」

「お前!早く支度をしないと、昼前に基地に着かないぞ!」

その声に一気に覚醒した。
「ヤバイ!!今何時??」
「ん8時半だな」
「うわ~~ぎりぎりよ!」

郁はざっと起き上がりバスルームに飛び込む。
今日持っていく荷物は全部ダンボールにつめちゃったし、着ていた寝巻き代わりのスエットとかブラシやらなんちゃらをざっとでっかいショルダーバックに突っ込んだ。
普通の旅行用よりデカイ、陸上の合宿や遠征に使っていたバックだ。

もう寝癖はキャップをかぶってごまかしていこう!
「それは女としてどうだ?」とちぃ兄には渋い顔をされるが、
「女なんて普段はこんなもんよ!ちぃ兄は理想もとめすぎてんじゃなぁ~~い?だから彼女できないの!」
と自分は、彼氏いない歴と年齢が一緒なのを棚にあげつつ言った。

「全くあほな事をいってねえでっ用意できたらいくぞ!」
笑いながら小突いてくるちぃ兄に、はぁ~いと返事をしつつ、支度を急いだ。

ここは私の三番目のアニキのアパート。
私は大学の部活を引退し、監督が推薦したがった実業団を蹴った都合上。
学校の運動部の寮には住みにくく感じてしまった。
寮母も友人達も・・・監督も、卒業まで居ていいって言ってくれたし、何よりも
残り少ない日々を友人たちとも過ごしたかったけど・・・私は卒業よりも前に寮を出るのを選んだ。

図書隊に入隊が決まって、ますます実家へは行きたくないし・・・。
なにより卒業から入隊までの間、寮から引き上げた荷物と共に実家へ帰って過ごすなんて・・・また・・絶対に説得の嵐だもん。

だから退寮するときに不要な荷物だけをまとめて宅配で実家へ送り、
「図書隊の入寮までそんなに日にちがないから」とごまかして、入隊してから使う荷物と一緒に、無理やりアニキ・・ちぃ兄のアパートへ転がり込んだ。
さすがにそのときは『荷物だけこんなに送ってきて・・・』と母さんがぼやいてるぞと大にぃからお叱りの電話があったけど・・・
でもやっぱり・・・帰りたくない。

ちぃ兄に「友達と卒業旅行に行くからお正月も帰らない」と言うと、「そうか、土産とかいらねぇからなぁ・・・ここの鍵なくすなよ」と笑っただけで、ちぃ兄は正月も一人で実家へ帰ってくれた。

ちぃ兄のアパートは東京の端っこと神奈川が交じり合ったあたりで、水戸の田舎と雰囲気が似ている。
駅からはすごい角度の上り坂ばかりで、それには少し驚いた。
ちぃ兄のアパートは値段の割には部屋数に余裕がある、だから私も同居するスペースがあった。(たぶんこの坂のせいで安いんだと思う。)
引越し用のダンボール数個は、すでに宅配で明日に寮へ届くように手配済み。
あとはこの小さめのダンボールとバック一個を担いでいくだけだ。

今日は私の入寮の日。
実はすっごいドキドキしてる。
不安もあるけど、もう断然にうれしさの方が飛びぬけてます!!って
空に叫ぶ勢いで、ダンボールを抱えた。

「おい、やっぱり基地まで送っていこうか?いくらなんでもダンボールをまるまるひとつ下げてとかマジありえないぞ」
ちぃにいが顔をしかめた。
その顔に、ちょっと甘え心がうずく。


拍手[70回]

「ん・・・・どうしようかなぁ・・・でもちぃにいちゃん出かける用事があるっていってなかったっけ?」
「待ち合わせはお前の降りる駅より先の駅だから、遅れる理由を話しをすれば判ってくれるやつだから・・・寄ってもいいんだぞ」
「ん・・ありがと。じゃあ改札の所までね♪」

アパートから急な坂をおりれば、駅までは線路沿いの平坦な道だ。
春風に色んな花の香りが混じった、田舎っぽい空気を思いっきり胸に吸い込んだ。



「なぁ。やっぱりにいちゃんも基地まで一緒に行こうか?」
「え~~!なんでよ!」
「なんでってやっぱりさぁ。・・・ほら!どんなところか見たいし・・・戦車!戦車もってないのか図書隊は?」

「もってる訳ないじゃん!もうっ!」

兄達も心配する気持ちをぬぐいきれないのはわかっていた。でも。。。

「あ、ヘリコプターはあったよ!面接のときに見た!」
「まじでか!乗れるのかなぁ」
「ん・・どうだろ?ね?」

「まぁ気をつけろよ・・・」
「はぁい」

ゴメン   アリガトウ

2人で改札をくぐり電車に乗り込む。
「おまえさ、これ結構重いぞ。どっかでカートを買ったりしたほうがいいんじゃないか?」
「え。やだ。だって階段とかカートごと持ち上げなきゃいけないんだよ。その分重いじゃん」
「お前・・・ちゃんとエスカレーターとか使えよ」

それからは2人して、たわいもない話をしながら電車に揺られる。
途中の乗り換えもはさんで、ようやく基地がある駅についた。

ちぃ兄ちゃんから、改札口でダンボールを受け取る。

「まぁなんだ、郁はアパートの鍵は持ってるんだし、好きなときに部屋に帰ってきていいぞ・・な!」

郁の頭をぐしゃっとなでてから前髪を上げておいて、ぺしぺしとたたく。

電車の中では、まっすぐ前を見て、窓の流れる景色から、目を動かすのが怖かった。
郁は、ちぃ兄ちゃんの顔が見れない自分に気がついていた。
顔を向けるのが・・・気が重かった。

嘘が、ばれてしまいそう。

だから・・・

ゴメンナサイ アリガトウ ゴメンナサイ

「うん。わかってる。・・・・じゃぁその時は連絡するね!」
「おう!気をつけてな!がんばれよ~!」
お互いに笑顔で手を振る。
もう少しで、弱音を吐きそうになってて、本当のことを言っちゃいそうで、歩き始めた駅前のアスファルトに映る自分の影を見つめた。



「ふぅ・・・。ありゃ~やっぱり大人しく図書館員をやるつもりはなさそうだなぁ・・・」
郁の・・・あのうつむきながらの早歩きは、「何かを隠してる・我慢しているとき」のお決まりの歩き方だ。
郁の兄の千尋は携帯を出しながらため息をついた。



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旦那もち子もち主婦。 明るい自閉症児家庭を築いている天下の器用貧乏。 心は16歳と言い切る図太さをもつ。 基本的にアレルギー体質。 右と左を間違える。 「ず」と「づ」の使い分けが巧くない。 埃じゃ死なない。喘息にはなるけど。
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