春風駘蕩
図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着
SS夜空を見上げて
- 2012/12/23 (Sun)
- 図書館SS |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
ども♪まるちゃです!
さてさて、『祝!!堂上教官お誕生日&革命のつばさ公開年・実写映画発表年&ひー・もりさくあ・maki宅およそ1周年&もりさくあ宅10万HIT&ひー宅6万HIT&maki宅5万HIT&藤ノ明子新サイト仮オープン+クリスマスを記念した企画 2012 年末感謝祭!』
で、略して『2012 年末感謝祭!』こそっと『春風駘蕩もうすぐ20万ヒット!』です。
私のは、郁ちゃんが入隊する前。女子大生やってるころの堂上さん。
去年は春風駘蕩では、見計らいを起こしちゃったすぐ後のクリスマスを、堂上と郁ちゃんの両方のを書きました。
今年は防衛で班長として部下が居るあたり・・・特殊部隊になる前のお話。
オリキャラ出てきますが、郁ちゃんはでてきません。
あの衝撃的な面接まで出会いませんので(^^;)
そんなんでもよろしいという方は、☆夜空の星に☆からどうぞ。
一部機種の方はそのまま下へ、☆みっつからが本文です。
略して『2012 年末感謝祭!』ブログもごらんくださいね♪
さてさて、『祝!!堂上教官お誕生日&革命のつばさ公開年・実写映画発表年&ひー・もりさくあ・maki宅およそ1周年&もりさくあ宅10万HIT&ひー宅6万HIT&maki宅5万HIT&藤ノ明子新サイト仮オープン+クリスマスを記念した企画 2012 年末感謝祭!』
で、略して『2012 年末感謝祭!』こそっと『春風駘蕩もうすぐ20万ヒット!』です。
私のは、郁ちゃんが入隊する前。女子大生やってるころの堂上さん。
去年は春風駘蕩では、見計らいを起こしちゃったすぐ後のクリスマスを、堂上と郁ちゃんの両方のを書きました。
今年は防衛で班長として部下が居るあたり・・・特殊部隊になる前のお話。
オリキャラ出てきますが、郁ちゃんはでてきません。
あの衝撃的な面接まで出会いませんので(^^;)
そんなんでもよろしいという方は、☆夜空の星に☆からどうぞ。
一部機種の方はそのまま下へ、☆みっつからが本文です。
略して『2012 年末感謝祭!』ブログもごらんくださいね♪
☆☆☆
郁入隊前 ウサギインウサギのあたり。
閉館時間がせまる図書館。
その書架の合間にある、木製のベンチに堂上は一人、腰掛けた。
暖房が効いているといっても、やはりクリスマスも近い時期では日が沈めばひんやりとしている。
そんな感覚も、一日中体を動かし、神経を張り詰める訓練の後では心地よい。
時々堂上は、自分の中にくすぶる熱を、ここで読書をすることで冷ましていくことがある。
そんなときに読むのは、推理小説でも時代小説でもない。
小説家の伝記やその一生を追って考察された書物だ。
今日はある小説家の娘の・・・この娘も小説家でありるのだが・・・その担当編集者が彼女の死後に書いたエッセイを読んでいた。
彼女が集めていた千代紙やマッチ箱などがレイアウトされた表装が、冬の寒さにかじかんでいた指先に心地よい。
目の端に光っているクリスマスツリーの電飾さえも、暖か味を足してくれている。
「あ!堂上三正!!」
その声に顔を上げれば、自分の部下が紅潮した顔で迫ってくる。
「なんだ?!館内だぞ。」
声もでかいと言外に示せば、身を正して詫びてきた。
詫びてはいるが、その顔はいつに無く緩みきっている。
なんだ一体・・・。
「堂上三正。明日はわれわれは公休日ですよね?それも今夜はクリスマスイブイブですよね?」
「あ~?それがどうした?」
「ぜひ!ぜひとも我々と飲みに行きましょう!!」
「遠慮する」
「えぇ?!即答っすか?!」
「だから声がでかい・・・」
「あ、スイマセン・・・あまりにも即答だったので」
でかい体をしょんぼりとさせてる部下の姿に、少し仏心が沸いた。
「とりあえず場所を移動するぞ」
「はい!」
だから声がでかいと、口で言ってもわからんようなのでとりあえず後ろ頭をはたいておく。
「いてぇ!!」
こういう単純明快な人柄は、堂上も部下として好ましいと感じているところだ。
場所を庁舎との間にある自販機に移した。
缶コーヒーを飲みながら話を聞けば、どうやら独身の予定が無い隊員同士での飲み会の話が出ているようだが、
一部の女子業務部員に「あなた達だけでは嫌だ」と条件を出され、その条件の人物の中の一人が堂上で・・・。
特にランクの高い『高物件』である堂上や小牧を連れて来れるなら、女子大生の友人も呼ぶという「めったにない好条件なんすよぉ!!」だそうだ。
「一般女子との出会いなんです!!本当に!本当にお願いします堂上三正!!」
まぁここまでよく出会いに情熱をかけられるもんだと、体をきっちりと折って頭を下げる自分の部下のつむじをまじまじと見ながら感じていた。
「あ!ここにいましたか!」
その声に二人して振り向くと、数人の部下や後輩やら同僚やらが走ってくる。
「おい堂上!お前が来れば女子大生だってよ!それもぴっちぴちの19歳とかハタチよぉ!!」
「そうだよ10代だよ10代!めったに無いぞ!」
今度は同僚にがっしりと握手される。
「10代と飲み会なんてだめだろ・・・」
「大丈夫!飲み屋じゃなくてイタメシ屋のクリスマスパーティープランだから!!」
「まともな酒が飲めないんじゃなぁ・・・」
「飲める飲める!ちゃんとワインとかビールとか俺らは飲めるからぁ!たのむ!堂上!!うんと言ってくれ!」
「そうですよ!堂上三正!お願いします!僕らに女子大生を!!」
そのいつもよりもある熱意は『今夜どうにかすれば明日デートする相手ができる』という目論見があるらしい。
気がつくと先ほどよりも人数が増えている。
半分囲まれてる体制だ。
いつの間に増えたんだと、ビビッているところをぐいとつかまれて、同僚の一人がそっとささやいてきた。
「お前の好きな、俺の地元の地酒をつける。帰省したらお前用に買ってくるから。来い」
こいつの地元はたしか・・・・
「赤か、黒。どちらだ?」
「黒」
「よし、忘れるなよ。後になって品切れとか無しだからな」
「任せろ。俺の親父の幼馴染が酒屋やってんだ。そこで揃えてもらうさ」
商談成立としたもんだろう。
花より団子・・・というか花より希少な焼酎だ。
店の名前と場所を聞いて、向かうと約束すれば解散となった。
俺は寮に戻ってシャワーを軽く浴びて着替えた。
店はわかりやすい場所にあったが、入りなれない外観に足が止まる。
ちょうど先ほどの同僚が来て一緒に店に入った。
イタメシなんて、スパゲッティかピザしかしらんし、そんなもんばかり酒と一緒に食えるのかと思っていたが、店について始まってみるとサラダや一品料理が豊富で驚いた。
たまにはこんなのも悪くない。
最初はビールがいいが、後でワインとしたもんだろう・・・。
男性らはすでに来ていたが、まだ女性たちが半分ほどしか来ていない。
乾杯はそれまでお預けとなると、ますますケツが落ち着かない。
視線を感じて顔を上げると、目の前に座ってる女性と目が合った。
「こんにちは・・・久しぶりです。あの、業務部の高梨です。先月はあの、急な病欠の補佐に入っていただいたときに、あの・・・一緒に作業させていただいたんです」
「そうですか・・・」
「あの、作業がとっても早くて・・・それと丁寧っていうか・・とにかくあの時は勉強になりました!!」
「・・・いや。そんな」
「さすが図書大を卒業なさってるなと!」
挨拶も乾杯もまだなのに、彼女の宴は始まっている感じだ。
正直返事に困っていると・・・
「高梨ちゃん!俺も堂上の同期だし、そのとき俺も居たよねぇ?」
「あ・・そうでした?」
「そうでしたって!えぇ?そりゃないよ高梨ちゃ~ん!」
こいつの軽いノリには度々救われる。
目の前の彼女は顔を赤くしてうつむいてしまった。
「あ、ねぇねぇそれよりかほらっ高梨ちゃんのお友達は?」
「え?あぁもうそろそろつきます。すいません。遅れてしまって」
「なに?その子たちはどういうお友達なの?」
「あ、図書ボランティアをやってる学生さんで、司書の資格も勉強中とかで、最初はいろいろと相談受けてたんですけど、私たちと読書の趣味というか傾向が一緒で仲良くなった子達なんです」
「へぇ~司書を目指してる子達か」
「だから図書大卒業生の方のお話も聞きいてみたいって。いいですか?」
「もっちろん!な?堂上!!」
どんと背中をたたかれて、むせながらも答えれば、彼女はほほを染めて、うれしそうに微笑まれて、男としてはどきっとする。
「あ、きたきた!こっちよ!!」
その声に男たちから「おぉ~っ」声が上がり、俺もつられてそちらをみた。
すでに座っている数人の業務部女子の向こうに女の子が三人やってくるのがみえた。
ほかの女子も彼女たちと仲がよいらしく、にぎやかに挨拶を交わしている。
三人かと思っていた、その後ろにもう一人いた。
少し明るめの茶色のショートヘアが俺の目に飛びこんできた。
あの子がもし、高校を卒業して大学生になってたら?
そう感じた瞬間。席を立っていた。
「お?なに堂上?まさか女子大生に興奮したか?」
どんと腰をどつかれながら、その子をもう一度見る。
違う。あの子じゃない。
「どうした堂上?おい?」
どんと押されてわれに返った。
はっとズボンのポケットに突っ込んでた携帯に触れて、
「なんか着信があったっぽいので確認してくる。俺にかまわず先に始めていてくれ」
そういうと、相手の返事を待たずに席を離れた。
どうかしている。
俺は
どうかしている。
ただ携帯を開いて、ただ時計が表示されてる画面を見つめる。
反省はしているが後悔はしていない。
何も持たない彼女が・・・少女がだ、本を守る為に一人で立っていた。
本を守る力を持つ俺が、その前に立って・・・彼女と本を守った。
それだけだ。
それだけのはずなのに。
あの少女がいつまでも残っている。
無意識に、その泣いてうつむく頭に自分の手を乗せていた。
驚いたように見開いた瞳。
泣いて染まったほっぺた。
俺を見つめる・・・その瞳。
俺はどうかしている。
俺は携帯を閉じて、ズボンのポケットにつっこんで、にぎやかに盛り上がっているテーブルへと戻った。
テーブルへ戻ると、先ほどと女性の席が替わっており、先ほどの髪の短い彼女が俺の斜め前に座っていた。
「どうかしましたか?」
「え、いや、別に・・・」
「なんだよ~女子大生気に入っちゃったかぁ?」
「あほか」
気がつくと、髪の短い彼女に目が行ってしまう。
同僚の質問に楽しげに恥ずかしげに答える彼女に、あの少女を重ねてしまっている。
ふと彼女と目が合った。
「あのっどどど堂上さんも業務部なんですか?」
「いや、違います。俺はこいつと同じで防衛です」
違う。
「え~そうなんですかぁ?」
「なになに?業務部の方がいいのぉ?おにいさんがっかりだよん」
「あ、えと、あまりよくわからなくて・・・抗争とかって見たこともあったこともないので・・・」
「ちょっと怖い?」
「え~まぁ・・・少し」
「そんなときは俺が守ってあげるよぉん!」
違う。
俺はよくわからない苛立ちに、テーブルの下で拳に力を入れる。
『おい、お前今日どうした?ちょっとおかしいぞ?体調でも悪いのか?』
小声で隣のやつに心配されてしまった。
それに「あぁ、ちょっとな」とあいまいに答えて、その後は適当に返事をしながら酒で食い物を流し込む。
「今日はありがとうございました!!とっても楽しかったです!」
適当にしか話してないのに、こんなに感激されてもな・・・。
ぎゅっと握られた手を、そっと離して愛想笑いしながらうなずく。
後輩らが彼女らをカラオケに誘っている。
一緒にといわれたが、調子がいまいちなそぶりで断り、基地へと足を向ける。
「なんか今日は悪かったな・・・」
「あ?なんだよ急に気持ち悪ぃな」
こいつ・・あんなに女子大と騒いでいた割には、俺と帰るのか?
いつも調子のいい口ぶりの同僚は、いつも気遣いが深い。
いいやつなんだけどな、彼女とかできないよなぁ・・・。
「だってお前。本当に変だったぞ」
「そうか?」
「なんかあったか?」
「いや、別になにも・・・」
そうか・・・とだけ言って、黙って歩き続けた。
具合が悪いというか・・・気持ちがざわつくというか・・・。
まったく色あせないあの情景に、今でも胸が締め付けられる。
生活があの事の前のように戻っても、その胸に沸いた小さなしこりは消えなかった。
「クリスマスにチキンはいかがですか~?!ただいま大変っお安くしてまぁす!!」
「お、今日参加できなかったやつらに土産とするか?」
「あぁ、そうだな」
「ミニスカサンタさぁ~ん!チキンくぅ~ださい!!」
本当にミニスカートなんだな、寒くねぇのかこの子らは・・・
「おい!堂上!財布!半分出せ!」
「お買いあげありがとうございまぁす!メリークリスマス!!」
そのあまりの量に驚く。買占めじゃねぇか・・・・。
ミニスカサンタたちは満面の笑みで見送ってくれている。
まぁ、これくらいはみんなで食えばすぐなくなるか・・・。
もう満腹と思っていた腹が、歩くたびに香ってくるチキンの香ばしい香りに刺激されている。
「さぁ、今夜は飲み明かそうぜ~~~!!」
「あぁ、いいな」
白い息を夜空にはいて、冷たい空気を胸いっぱいに入れてみる。
冷たい空気が入った胸は、冷えるどころかぽかぽかとしている。
小さなしこりが発する熱・・・。
それを誤魔化すように夜空に目を向ける。
見上げれば・・・星が瞬いている・・・。
今夜はクリスマスイブ・・・君は・・今・・・笑っているかい?
終わり
(2014.5/20修正 )
郁入隊前 ウサギインウサギのあたり。
閉館時間がせまる図書館。
その書架の合間にある、木製のベンチに堂上は一人、腰掛けた。
暖房が効いているといっても、やはりクリスマスも近い時期では日が沈めばひんやりとしている。
そんな感覚も、一日中体を動かし、神経を張り詰める訓練の後では心地よい。
時々堂上は、自分の中にくすぶる熱を、ここで読書をすることで冷ましていくことがある。
そんなときに読むのは、推理小説でも時代小説でもない。
小説家の伝記やその一生を追って考察された書物だ。
今日はある小説家の娘の・・・この娘も小説家でありるのだが・・・その担当編集者が彼女の死後に書いたエッセイを読んでいた。
彼女が集めていた千代紙やマッチ箱などがレイアウトされた表装が、冬の寒さにかじかんでいた指先に心地よい。
目の端に光っているクリスマスツリーの電飾さえも、暖か味を足してくれている。
「あ!堂上三正!!」
その声に顔を上げれば、自分の部下が紅潮した顔で迫ってくる。
「なんだ?!館内だぞ。」
声もでかいと言外に示せば、身を正して詫びてきた。
詫びてはいるが、その顔はいつに無く緩みきっている。
なんだ一体・・・。
「堂上三正。明日はわれわれは公休日ですよね?それも今夜はクリスマスイブイブですよね?」
「あ~?それがどうした?」
「ぜひ!ぜひとも我々と飲みに行きましょう!!」
「遠慮する」
「えぇ?!即答っすか?!」
「だから声がでかい・・・」
「あ、スイマセン・・・あまりにも即答だったので」
でかい体をしょんぼりとさせてる部下の姿に、少し仏心が沸いた。
「とりあえず場所を移動するぞ」
「はい!」
だから声がでかいと、口で言ってもわからんようなのでとりあえず後ろ頭をはたいておく。
「いてぇ!!」
こういう単純明快な人柄は、堂上も部下として好ましいと感じているところだ。
場所を庁舎との間にある自販機に移した。
缶コーヒーを飲みながら話を聞けば、どうやら独身の予定が無い隊員同士での飲み会の話が出ているようだが、
一部の女子業務部員に「あなた達だけでは嫌だ」と条件を出され、その条件の人物の中の一人が堂上で・・・。
特にランクの高い『高物件』である堂上や小牧を連れて来れるなら、女子大生の友人も呼ぶという「めったにない好条件なんすよぉ!!」だそうだ。
「一般女子との出会いなんです!!本当に!本当にお願いします堂上三正!!」
まぁここまでよく出会いに情熱をかけられるもんだと、体をきっちりと折って頭を下げる自分の部下のつむじをまじまじと見ながら感じていた。
「あ!ここにいましたか!」
その声に二人して振り向くと、数人の部下や後輩やら同僚やらが走ってくる。
「おい堂上!お前が来れば女子大生だってよ!それもぴっちぴちの19歳とかハタチよぉ!!」
「そうだよ10代だよ10代!めったに無いぞ!」
今度は同僚にがっしりと握手される。
「10代と飲み会なんてだめだろ・・・」
「大丈夫!飲み屋じゃなくてイタメシ屋のクリスマスパーティープランだから!!」
「まともな酒が飲めないんじゃなぁ・・・」
「飲める飲める!ちゃんとワインとかビールとか俺らは飲めるからぁ!たのむ!堂上!!うんと言ってくれ!」
「そうですよ!堂上三正!お願いします!僕らに女子大生を!!」
そのいつもよりもある熱意は『今夜どうにかすれば明日デートする相手ができる』という目論見があるらしい。
気がつくと先ほどよりも人数が増えている。
半分囲まれてる体制だ。
いつの間に増えたんだと、ビビッているところをぐいとつかまれて、同僚の一人がそっとささやいてきた。
「お前の好きな、俺の地元の地酒をつける。帰省したらお前用に買ってくるから。来い」
こいつの地元はたしか・・・・
「赤か、黒。どちらだ?」
「黒」
「よし、忘れるなよ。後になって品切れとか無しだからな」
「任せろ。俺の親父の幼馴染が酒屋やってんだ。そこで揃えてもらうさ」
商談成立としたもんだろう。
花より団子・・・というか花より希少な焼酎だ。
店の名前と場所を聞いて、向かうと約束すれば解散となった。
俺は寮に戻ってシャワーを軽く浴びて着替えた。
店はわかりやすい場所にあったが、入りなれない外観に足が止まる。
ちょうど先ほどの同僚が来て一緒に店に入った。
イタメシなんて、スパゲッティかピザしかしらんし、そんなもんばかり酒と一緒に食えるのかと思っていたが、店について始まってみるとサラダや一品料理が豊富で驚いた。
たまにはこんなのも悪くない。
最初はビールがいいが、後でワインとしたもんだろう・・・。
男性らはすでに来ていたが、まだ女性たちが半分ほどしか来ていない。
乾杯はそれまでお預けとなると、ますますケツが落ち着かない。
視線を感じて顔を上げると、目の前に座ってる女性と目が合った。
「こんにちは・・・久しぶりです。あの、業務部の高梨です。先月はあの、急な病欠の補佐に入っていただいたときに、あの・・・一緒に作業させていただいたんです」
「そうですか・・・」
「あの、作業がとっても早くて・・・それと丁寧っていうか・・とにかくあの時は勉強になりました!!」
「・・・いや。そんな」
「さすが図書大を卒業なさってるなと!」
挨拶も乾杯もまだなのに、彼女の宴は始まっている感じだ。
正直返事に困っていると・・・
「高梨ちゃん!俺も堂上の同期だし、そのとき俺も居たよねぇ?」
「あ・・そうでした?」
「そうでしたって!えぇ?そりゃないよ高梨ちゃ~ん!」
こいつの軽いノリには度々救われる。
目の前の彼女は顔を赤くしてうつむいてしまった。
「あ、ねぇねぇそれよりかほらっ高梨ちゃんのお友達は?」
「え?あぁもうそろそろつきます。すいません。遅れてしまって」
「なに?その子たちはどういうお友達なの?」
「あ、図書ボランティアをやってる学生さんで、司書の資格も勉強中とかで、最初はいろいろと相談受けてたんですけど、私たちと読書の趣味というか傾向が一緒で仲良くなった子達なんです」
「へぇ~司書を目指してる子達か」
「だから図書大卒業生の方のお話も聞きいてみたいって。いいですか?」
「もっちろん!な?堂上!!」
どんと背中をたたかれて、むせながらも答えれば、彼女はほほを染めて、うれしそうに微笑まれて、男としてはどきっとする。
「あ、きたきた!こっちよ!!」
その声に男たちから「おぉ~っ」声が上がり、俺もつられてそちらをみた。
すでに座っている数人の業務部女子の向こうに女の子が三人やってくるのがみえた。
ほかの女子も彼女たちと仲がよいらしく、にぎやかに挨拶を交わしている。
三人かと思っていた、その後ろにもう一人いた。
少し明るめの茶色のショートヘアが俺の目に飛びこんできた。
あの子がもし、高校を卒業して大学生になってたら?
そう感じた瞬間。席を立っていた。
「お?なに堂上?まさか女子大生に興奮したか?」
どんと腰をどつかれながら、その子をもう一度見る。
違う。あの子じゃない。
「どうした堂上?おい?」
どんと押されてわれに返った。
はっとズボンのポケットに突っ込んでた携帯に触れて、
「なんか着信があったっぽいので確認してくる。俺にかまわず先に始めていてくれ」
そういうと、相手の返事を待たずに席を離れた。
どうかしている。
俺は
どうかしている。
ただ携帯を開いて、ただ時計が表示されてる画面を見つめる。
反省はしているが後悔はしていない。
何も持たない彼女が・・・少女がだ、本を守る為に一人で立っていた。
本を守る力を持つ俺が、その前に立って・・・彼女と本を守った。
それだけだ。
それだけのはずなのに。
あの少女がいつまでも残っている。
無意識に、その泣いてうつむく頭に自分の手を乗せていた。
驚いたように見開いた瞳。
泣いて染まったほっぺた。
俺を見つめる・・・その瞳。
俺はどうかしている。
俺は携帯を閉じて、ズボンのポケットにつっこんで、にぎやかに盛り上がっているテーブルへと戻った。
テーブルへ戻ると、先ほどと女性の席が替わっており、先ほどの髪の短い彼女が俺の斜め前に座っていた。
「どうかしましたか?」
「え、いや、別に・・・」
「なんだよ~女子大生気に入っちゃったかぁ?」
「あほか」
気がつくと、髪の短い彼女に目が行ってしまう。
同僚の質問に楽しげに恥ずかしげに答える彼女に、あの少女を重ねてしまっている。
ふと彼女と目が合った。
「あのっどどど堂上さんも業務部なんですか?」
「いや、違います。俺はこいつと同じで防衛です」
違う。
「え~そうなんですかぁ?」
「なになに?業務部の方がいいのぉ?おにいさんがっかりだよん」
「あ、えと、あまりよくわからなくて・・・抗争とかって見たこともあったこともないので・・・」
「ちょっと怖い?」
「え~まぁ・・・少し」
「そんなときは俺が守ってあげるよぉん!」
違う。
俺はよくわからない苛立ちに、テーブルの下で拳に力を入れる。
『おい、お前今日どうした?ちょっとおかしいぞ?体調でも悪いのか?』
小声で隣のやつに心配されてしまった。
それに「あぁ、ちょっとな」とあいまいに答えて、その後は適当に返事をしながら酒で食い物を流し込む。
「今日はありがとうございました!!とっても楽しかったです!」
適当にしか話してないのに、こんなに感激されてもな・・・。
ぎゅっと握られた手を、そっと離して愛想笑いしながらうなずく。
後輩らが彼女らをカラオケに誘っている。
一緒にといわれたが、調子がいまいちなそぶりで断り、基地へと足を向ける。
「なんか今日は悪かったな・・・」
「あ?なんだよ急に気持ち悪ぃな」
こいつ・・あんなに女子大と騒いでいた割には、俺と帰るのか?
いつも調子のいい口ぶりの同僚は、いつも気遣いが深い。
いいやつなんだけどな、彼女とかできないよなぁ・・・。
「だってお前。本当に変だったぞ」
「そうか?」
「なんかあったか?」
「いや、別になにも・・・」
そうか・・・とだけ言って、黙って歩き続けた。
具合が悪いというか・・・気持ちがざわつくというか・・・。
まったく色あせないあの情景に、今でも胸が締め付けられる。
生活があの事の前のように戻っても、その胸に沸いた小さなしこりは消えなかった。
「クリスマスにチキンはいかがですか~?!ただいま大変っお安くしてまぁす!!」
「お、今日参加できなかったやつらに土産とするか?」
「あぁ、そうだな」
「ミニスカサンタさぁ~ん!チキンくぅ~ださい!!」
本当にミニスカートなんだな、寒くねぇのかこの子らは・・・
「おい!堂上!財布!半分出せ!」
「お買いあげありがとうございまぁす!メリークリスマス!!」
そのあまりの量に驚く。買占めじゃねぇか・・・・。
ミニスカサンタたちは満面の笑みで見送ってくれている。
まぁ、これくらいはみんなで食えばすぐなくなるか・・・。
もう満腹と思っていた腹が、歩くたびに香ってくるチキンの香ばしい香りに刺激されている。
「さぁ、今夜は飲み明かそうぜ~~~!!」
「あぁ、いいな」
白い息を夜空にはいて、冷たい空気を胸いっぱいに入れてみる。
冷たい空気が入った胸は、冷えるどころかぽかぽかとしている。
小さなしこりが発する熱・・・。
それを誤魔化すように夜空に目を向ける。
見上げれば・・・星が瞬いている・・・。
今夜はクリスマスイブ・・・君は・・今・・・笑っているかい?
終わり
(2014.5/20修正 )
PR
リンク
カテゴリー
カレンダー
カウンター
それなりに
旦那もち子もち主婦。
明るい自閉症児家庭を築いている天下の器用貧乏。
心は16歳と言い切る図太さをもつ。
基本的にアレルギー体質。
右と左を間違える。
「ず」と「づ」の使い分けが巧くない。
埃じゃ死なない。喘息にはなるけど。
HN:
まるちゃ
性別:
女性
趣味:
なにかつくること


この記事へのコメント