春風駘蕩
図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着
SS 年の暮れ
上官部下時代 まだ自覚前の年末
関東図書基地の女子寮の寮監室は一年で一番賑やかな日だ。
「そろそろいいのかな?」
「あ、まだ買い出しのチキン班がまだです!そろそろ着くってメールありました!」
寮監室の住居スペースにすでにぎっしりと女子防衛員たちが座っている。
一番奥に女子寮の寮監が座っている。
彼女にしてみれば寮に暮らす隊員は娘のような存在だ。
特に年末年始の警備に配備される女子は、まだ若い隊員ばかりだ。
他館に配属の防衛女子隊員も混じっている。
「只今戻りました! 」
「遅いよ~!」
「寒いなかお疲れ~!」
「コールスロー買ってきてくれた?」など賑やかなやり取りがされる。
「ごめんごめん!笠原が利用者さんに呼び止められちゃってさ~!」
「ごめんって!でもほらっお漬け物貰ったから食べよう!」
真っ赤に染めた頬の笠原が嬉しそうにスーパーの袋を皆に見せる。
「笠原さん!そこの戸棚に青いお皿あるでしょ!それを使ってね」
「あ!はい了解です!」
「あれ?笠原?堂上班って勤務だったっけ?今年は宇田川班と青木班じゃなかった?変わったの?」
「え?そうだよ。私は勤務じゃないけど・・・実家には帰らないから・・・・。」
「あ、なんだそうか。」彼女は明らかに安堵の色を濃くした。
「でもよく知ってるね~! 」
え?と顔を赤らめる彼女の背後から他の女子が話に加わった。
「知ってるもなにも調べたんだもんね~!」
やだ言わないでと真っ赤になって慌てる同期を、郁は少し羨ましい気持ちで眺めていた。
狭い室内に集まって乾杯して、持ち寄ったもので食事を済ます。
そのあとは館内の視聴覚室の大画面で、男女残留組で紅白を鑑賞するのが慣例になっている。
寮監はそのまま寮内に残るが、数人が寮に残って過ごすことがある。
誰とは決まっていないので、今年は笠原が残ろうかとしたが、比較的古参の春に寿退寮が決まっている先輩防衛員に追い出されてしまった。
笠原も他の女子防衛員たちと視聴覚室に向かった。
行くと既に男子防衛員たちが紅白を観ながら話にはなを咲かせていた。
ぐるりと見回すと、先ほど郁にシフトを確認した同期が宇田川班の先輩と話し込んでいる。
同期が嬉しそうに微笑むと先輩も満更でもない様子で見つめ返している。
・・・・そうか、先輩の事が・・・。
恋するその素振りが羨ましい。
それを受けとめてくれる人がいることも。
私はいつもダメだったな。
郁は最後に告白をした時の事を思い出す。
皆に押されて告白して玉砕。
そのあとにその本人から何回か家に電話があったけど、怖くて出れなかったっけ。
私もいつか・・・彼女のように恋を紡いでいけるのかな?
「どうした笠原!堂上居なくちゃ元気でないか?!」
「へぇ?あ・・・ん~班の皆が居ないことより、柴崎がいない方がさみしいですよ~?」
特殊部隊の先輩に肩を叩かれながらそう答えれば、先輩は「まだまだだなこりゃ」と顔を歪ませた。
何がまだまだなのかわからないけど、先輩は言うだけ言って大画面のミニスカートの三人組のアイドルに身をのりだし、より見える位置へと移動して行った。
先輩から『堂上』という言葉を聞いて、ちょっと寂しさが増した気がする。
「笠原!このあとコンビニまで行っておでん買うの付き合ってよ!」
「え?おでん?」
「蕎麦あるからさ、おでん蕎麦にして年越ししよ!」
「えぇ~?おでん蕎麦?なにそれっ!」
「出汁を多目に入れてもらって作るんだよ!」
「へぇー美味しそう!」
きゃいきゃいとどのおでんネタを選ぶかで盛り上がっているのを見て、まだまだうちの娘っこは色気より食い気だなと、青木班の面々は顔を見合わせた。
紅白を見終わって、郁は数人とコンビニに向かった。
おでんを選んで順番に会計をしている時にちょうど新年を迎えた。
「ちょうど新年になりましたね!明けましておめでとうございます!本年もこの店をご贔屓下さいませ。」と店員に言われて、その場で各々新年の挨拶をかわした。
少しウキウキした気分でコンビニを後にする。
深夜の冷たい空気がよく笑った体に心地よい。
少しだけ、ほんの少しだけ、
教官、何してるかな?
そう思うと少しだけ心が騒ぐ。
新年のドキドキが恋の胸騒ぎと混ざってこんがらがって、まだまだ芽吹かない。
そんな年明け。
終わり
☆春風駘蕩を今年もよろしくお願いいたします!
まるちゃ 2012年 元日
関東図書基地の女子寮の寮監室は一年で一番賑やかな日だ。
「そろそろいいのかな?」
「あ、まだ買い出しのチキン班がまだです!そろそろ着くってメールありました!」
寮監室の住居スペースにすでにぎっしりと女子防衛員たちが座っている。
一番奥に女子寮の寮監が座っている。
彼女にしてみれば寮に暮らす隊員は娘のような存在だ。
特に年末年始の警備に配備される女子は、まだ若い隊員ばかりだ。
他館に配属の防衛女子隊員も混じっている。
「只今戻りました! 」
「遅いよ~!」
「寒いなかお疲れ~!」
「コールスロー買ってきてくれた?」など賑やかなやり取りがされる。
「ごめんごめん!笠原が利用者さんに呼び止められちゃってさ~!」
「ごめんって!でもほらっお漬け物貰ったから食べよう!」
真っ赤に染めた頬の笠原が嬉しそうにスーパーの袋を皆に見せる。
「笠原さん!そこの戸棚に青いお皿あるでしょ!それを使ってね」
「あ!はい了解です!」
「あれ?笠原?堂上班って勤務だったっけ?今年は宇田川班と青木班じゃなかった?変わったの?」
「え?そうだよ。私は勤務じゃないけど・・・実家には帰らないから・・・・。」
「あ、なんだそうか。」彼女は明らかに安堵の色を濃くした。
「でもよく知ってるね~! 」
え?と顔を赤らめる彼女の背後から他の女子が話に加わった。
「知ってるもなにも調べたんだもんね~!」
やだ言わないでと真っ赤になって慌てる同期を、郁は少し羨ましい気持ちで眺めていた。
狭い室内に集まって乾杯して、持ち寄ったもので食事を済ます。
そのあとは館内の視聴覚室の大画面で、男女残留組で紅白を鑑賞するのが慣例になっている。
寮監はそのまま寮内に残るが、数人が寮に残って過ごすことがある。
誰とは決まっていないので、今年は笠原が残ろうかとしたが、比較的古参の春に寿退寮が決まっている先輩防衛員に追い出されてしまった。
笠原も他の女子防衛員たちと視聴覚室に向かった。
行くと既に男子防衛員たちが紅白を観ながら話にはなを咲かせていた。
ぐるりと見回すと、先ほど郁にシフトを確認した同期が宇田川班の先輩と話し込んでいる。
同期が嬉しそうに微笑むと先輩も満更でもない様子で見つめ返している。
・・・・そうか、先輩の事が・・・。
恋するその素振りが羨ましい。
それを受けとめてくれる人がいることも。
私はいつもダメだったな。
郁は最後に告白をした時の事を思い出す。
皆に押されて告白して玉砕。
そのあとにその本人から何回か家に電話があったけど、怖くて出れなかったっけ。
私もいつか・・・彼女のように恋を紡いでいけるのかな?
「どうした笠原!堂上居なくちゃ元気でないか?!」
「へぇ?あ・・・ん~班の皆が居ないことより、柴崎がいない方がさみしいですよ~?」
特殊部隊の先輩に肩を叩かれながらそう答えれば、先輩は「まだまだだなこりゃ」と顔を歪ませた。
何がまだまだなのかわからないけど、先輩は言うだけ言って大画面のミニスカートの三人組のアイドルに身をのりだし、より見える位置へと移動して行った。
先輩から『堂上』という言葉を聞いて、ちょっと寂しさが増した気がする。
「笠原!このあとコンビニまで行っておでん買うの付き合ってよ!」
「え?おでん?」
「蕎麦あるからさ、おでん蕎麦にして年越ししよ!」
「えぇ~?おでん蕎麦?なにそれっ!」
「出汁を多目に入れてもらって作るんだよ!」
「へぇー美味しそう!」
きゃいきゃいとどのおでんネタを選ぶかで盛り上がっているのを見て、まだまだうちの娘っこは色気より食い気だなと、青木班の面々は顔を見合わせた。
紅白を見終わって、郁は数人とコンビニに向かった。
おでんを選んで順番に会計をしている時にちょうど新年を迎えた。
「ちょうど新年になりましたね!明けましておめでとうございます!本年もこの店をご贔屓下さいませ。」と店員に言われて、その場で各々新年の挨拶をかわした。
少しウキウキした気分でコンビニを後にする。
深夜の冷たい空気がよく笑った体に心地よい。
少しだけ、ほんの少しだけ、
教官、何してるかな?
そう思うと少しだけ心が騒ぐ。
新年のドキドキが恋の胸騒ぎと混ざってこんがらがって、まだまだ芽吹かない。
そんな年明け。
終わり
☆春風駘蕩を今年もよろしくお願いいたします!
まるちゃ 2012年 元日
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