春風駘蕩
図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着
SS 不思議の国の笠原 (6 最終話 )
- 2011/07/24 (Sun)
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ドリームシチュエーションSS
ララのドリームシチュエーションで見事グランプリをとって表紙となった
「不思議の国のアリス」をみて、思わずできちゃったSSですが、今回で最終回となりました!
本編とは無関係ですし、本作は私が表紙をみて、妄想はじけちゃった産物に、ここまでお付き合いくださってありがとうございます!
尚、本日の12時に「ララ9月号のネタバレ」記事を掲載予定です。
では ☆不思議の国の笠原 (6 最終話 )☆よりどうぞ
一部修正 (2016/07/04)
ララのドリームシチュエーションで見事グランプリをとって表紙となった
「不思議の国のアリス」をみて、思わずできちゃったSSですが、今回で最終回となりました!
本編とは無関係ですし、本作は私が表紙をみて、妄想はじけちゃった産物に、ここまでお付き合いくださってありがとうございます!
尚、本日の12時に「ララ9月号のネタバレ」記事を掲載予定です。
では ☆不思議の国の笠原 (6 最終話 )☆よりどうぞ
一部修正 (2016/07/04)
☆☆☆
不思議の国の笠原 (6 最終話 )
郁ちゃんは記憶が書き換えられてます。自分の事はメアリー・アン
それと、ウサギの耳が生えた堂上教官にそっくりなウサギ男の名前はマクトウィスプです。
イカレ帽子屋は小牧教官でねずみの彼女は毬江ちゃんです。
チシャ猫は柴崎の姿です。
マクトウィスプは花の森で花たちにいたぶられてます。
メアリー・アンの郁ちゃんはチシャ猫柴崎とお留守番しているところから始まります。
モブ朗先輩は4か6か迷いましたが、英語の響きでこっちにしました。
長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。これが最終話です。
☆☆☆
「はぁ~~~~~」
「なに?真昼間から辛気臭いもんを落とさないでくれる?」
「チシャ猫!?」
「はぁい?知ってるわよ~~昨日の騒ぎ。あんたもまんまと銀縁トカゲ男なんかの口車になんて乗るんじゃないわよ!」
「えぇ?しってんの?」
「知ってるわよ~~。それに、小さくなったアンタをカゴの中にいれたまま荷物のようにして運ぶ事だって出来たのに。
な~~に考えてるのかしら、あのウサギ男って」
「へ?」
「アンタもでっかいだのちっさいだのでめそめそすんじゃないわよ。
アンタがアンタだから・・・それでいいじゃないの。違う?」
「・・あたしみたいながさつで武骨な人間だからデカくてもい当然って事?」
「ちっがぁ~~~~~う!!」
思いっきり木の上から叫ばれて、ちょっとムッときた。
木登りなんてお手の物なんだからね、と・・・おっとスカートをはいてたんだった。
とスカートを撫で付けてて気になったこのごわつき。
スカートの中をおずおず確かめると、腿の辺りまでのブロワーズをはいていた。
・・・あのメイド喫茶のメイドさんがスカートの下にはいているやつだ。
あ~これなら木登りしてもいいかも。パンツみえないし。
本当はこれが下着そのものなのだが・・・知らない彼女はそのまま木登りをしようとチシャ猫がいる大木に手足をかけた。
ズキン・・・・・『おい!・・サハ・・!』・・・・身体に痛みと共に・・・頭の中に何かが走った。
「あ?っつつ痛っ・・・て誰の声??いたたた・・・」
「・・・・っと!・・・ちょっと!大丈夫アンタ?!」
チシャ猫の声に、はっと顔を上げた。
「え・私・・今?何?」
チシャ猫はすっと枝の上から姿を消し、彼女の足元へ降り立った。
「ふぅ。驚いたわ・・・もう大丈夫そうね」
「へ?なにが??」
「お前まで・・・こんなところで何をしている・・・」
「あらら・・・もと王子!お帰りなさいませ~~~!お久しぶりなのにつれないわぁ」
「いいから失せろ!」
「いやぁよ。私がどんな状態でいようと、あなた様にはもう関係ないはず・・でしょ?」
にっこりと微笑みながら、するすると完全な猫の姿になり、メアリー・アン(笠原)の肩へとひらりとあがり
さらに細くなって・・・
「みてみて~~あたしったら襟巻き♪うふふ!」
と彼女の首元に巻きついた。
「え?えぇ?」
「ふん!勝手にしろ!ほら、喰え!」
マクトウィスプ(堂上)は苦い顔をしながら、持ってきたバスケットを彼女へと手渡した。
カゴにはサンドイッチが入っており、それらは美味しかった。
食べる直前まで首元に巻きついていたチシャ猫も、いつの間にかにまた人に近い姿に戻ってお相伴に預かっている。
そして、日が暮れる前に三人は城の近くまできた。
昔は栄えた城下町あったであろう町並みは、何処も朽ちていて人影もまばらだ。
その少ない人影も一行の目に触れるのを恐れるように建物の影へと消えていく。
それらは本当に人だったのか、それとも・・ただの影?
そう考えると寒気がした。
再び首元に収まっているチシャ猫に彼女は小声で話しかけた。
「ねぇ・・・ここっていつもこんななの?」
「今の黒の女王になってからだわね・・・」
目の前に大きな門扉が立ちはだかった。
ウサギ男がずいっと門の前にきて、そしてよく響く声で門に向かって声をはった。
「マクトウィスプだ、黒の女王との謁見に参った・・・」
ぎぎぎぃっという音を立てながら門は開いた。
「ほら、行くぞ」
「はい」
門をくぐり広い広場を抜けて、いくつかのゲートをくぐりある館へと入った。
コツコツコツ・・・・暗い冷たい廊下に足音が響く。
あれ?気がつくと首にいたチシャ猫がいない。
あわてて見渡す。
どすん。
余所見をしていたために、前を歩いていたウサギ男の背にそのまま激突した。
「何してんだ!貴様は!!」
「すっすいません!!」
「ったく。いいかここでちょっと待てろ」
ぴこっと耳を動かしたかと思えば、ウサギ男はほぼウサギの姿になっていた。
そして扉の横にあった花台の下にある小さな扉から部屋の中へと入っていった。
小さな扉はすぐに閉まってしまったが、彼女がうひゃ~~と言いながら屈んで覗き込んでいると・・・
「ちょっとあんた悠長にしてんじゃないわよ」
あわてて花台の上を見ると、いつの間にかに花瓶の変わりにチシャ猫が寝そべっていた。
「ほら、口開けな」
「へ?」
口をあけたというよりも、疑問を発しただけなのだが、何かをチシャ猫の尻尾先から彼女の口に入れられた。
「んん?!甘っ!!」
「早く噛んじゃいなさい!」
がりり! 言われると同時ぐらいにすでに噛み砕いていた。
ぱぁっと懐かしい甘さが口に広がった。
・・・この味・・・知ってる!
「思い出した?あほ娘!さぁこれからが本番よ。アンタはまず、トランプどもが謁見のために、あなただけを別の棟へ連れていくわ。
別の当へは中庭を通るの。中庭に出たらすぐに身体の大きさを変えて、護衛カードのエースとフォースをなぎ倒しなさい。
そしてこの隣の部屋に手を突っ込んで部屋の中央に飾られているあの時計を奪うの。
そのあとはそのまま逃げればいいわ。城壁も門扉も、あなたのあの大きさMAXなら飛び越えられる。
あとはどこまでも走り続ければいいの、そうすれば元の世界よ。わかった?」
「うん!わかった!」
ずずっと身体がうずいた。
「こら!まだダメよ!本当に単純ネェ。あの人も苦労するわ・・・」
「え?何?」
「あっホラやつ等がきたわよ!じゃね♪幸運を祈るわ~♪」
コツコツと靴を響かせてトランプ兵が二人こちらへ廊下をやってきた。
「メアリー・アン様、女王陛下の謁見のお支度をこちらで整えますので、私どもにご同行ください。」
ぴらぴらっとトランプ兵たちは礼儀正しく礼をした。
その顔をみて驚愕した。
「えぇ?手塚?モブ朗先輩?」
「はぁ?」
「あ!な・・何でも無いです!さっ行きましょう!!」
「はっ!ではこちらに・・・。」
・・・あたしいつの間にかに記憶が戻ってる。
さっきの飴のおかげ?
あの柴崎チシャ猫のおかげ?
てか手塚とモブ朗先輩が薄いんですけど!!!
ぷっと鼻先をバラの香りがして我に返った。
中庭だ!!
「ふぅん!!!」
大きくなるなんてどうやっていいかなんてわからないので、とにかく腹に力を入れてみた。
ずっずずずずずずずずずずずずっ!!
「ごめんてづかぁ!!」
ぺしゃんぺしゃん!!
トランプ兵たちは簡単にたたまれてしまった。
郁は中庭で屈んで、チシャ猫柴崎が言っていた部屋を覗いた。
あれ?ない?
どこにも金時計を飾った部屋なんて無い!
そのとき、ある部屋の壁がちかっと光った。
小さな扉から白いおしりが見えた!!
「ウサギ男!」
がばっと身を起こすと建物の端からウサギ男が堂上の姿で逃げるのが見えた。
「あ!まって!!」
巨大化した郁の気配を感じてか、どの棟からもトランプ兵士達がわらわらと出てきている。
どすん!!・・・・どすん・・・・!!どすん・・・!!
柴崎チシャ猫の言うとおりに、巨大化したままひょいひょいと門や城壁を越えていく。
「まって!!」
くるりと眼下のウサギ男が振り返る。
その堂上の姿でこういった。
「ははっ!またデカくなったなぁ!おまえのままの大きさじゃ俺には追いつけないものなぁ!!これはお前の頭で考えたんじゃないな?化け猫の入れ知恵かぁ?!」
その瞳にわが身を写されたと自覚したとたん。
「ひゃぁぁぁぁ!!縮んでいく!!なんでぇ?」
最初は建物や人を踏まないようにと一歩一歩を慎重に下ろしていた郁だが、どんどん縮まる身体に思わず駆け足になる。
足は地に着いているが、目線がどんどん低くなるので高いところから落下している感覚だ。
慌てながらも視線は赤いフロックコートの後姿にロックオンしている。
「わっわっわっ!!」
ずだんん!・・・すだんん!・・・・だぁん!・・だん!・・だ!・・だ!・・・たった・・たったった
郁のだす足音が重くて大きなものから軽快なリズムを刻み始めた。
すでに城下は抜けて森の中だ。
「おっ元に戻りやがったな、しかし負けん!」
「うりやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!まちやがれ!堂上もどきめ!!」
「あぁ?記憶まで戻ったか?!ちっ」
「観念して時計を返せ!!」
「だめだ!やっぱりお前は元の世界なんて帰さない!!」
「え?それって?」
いつの間にかに森は切れて、目の前に大きな崖と釣り橋が登場した。
そのつり橋の中央にマクトウィスプ・・・ウサギ男堂上が立ち止まってこちらを振りかえる。
頑丈とはお世辞でもいえないつり橋は、マクトウィスプ一人の重さでもギシギシと悲鳴を上げている。
「こっちの世界とあっちの世界。・・・お前だけが片側にしかいない!
こんな世界は壊してやると思ったが、やめた。こっちで俺と一緒に暮らそう」
「はぁ?騙そうって魂胆ね!そうは行かないわよ!ふん捕まえてやるぅ!」
「ばかっ待つか!てか落ち着け!」
郁の踏み出した足の下で、乾いた音が鳴り響いた。
「はれれ??」
釣り端の乾いたが足元から音を立てて舞い落ちてて行く。
身体が縮んでいるのではなく、今度は本当に落ちているのだと・・・感じていた。
・・・ハラ!
カサハラ!!!
おい!!カサハラ!!!!
無我夢中で目の前に現れたウサギ男に手を伸ばした。
「んはぁって返せこのやろぉう!!」
郁は目の前のウサギ男の首根っこを引っつかんで思いっきり引き寄せる。
「っばか!お前!」
郁は顔に手をかけて引き剥がされた。
そして拳骨。
「つはぁ~~~~~!!(痛い!)」
「あ~~教官?この子本当にバカになっちゃいますよ。いくら頭を打ってないとはいえ、今まで気絶してたんですからぁ~」
「痛ぁっ!!!って??えぇ??しっ柴崎ぃ?!本当に柴崎ぃ?!」
ベット脇に立っていた柴崎を見つけると、思わず郁は抱きついた。
「あらららこの子ったら」
柴崎は勝利の笑みを堂上にむける。
ぐっと堂上の眉間にしわがよった。
「~~~問題ないなら俺は先に事務所へ戻る!笠原!お前はこのまま帰寮しろ!!荷物は後で手塚に届けさせる!」
「私が送っていきますから、上司への連絡・・お願いしまぁす!」
「ぐ・・・わかっとる!!」
そういうと堂上はさっさと医務室を後にした。
「へ?・・あれ?今の堂上教官?」
「やだあんた、本当に寝ぼけてたの?」
「へ?寝ぼけるって・・・やだ?夢?え?私寝てたの?って!」
ぺしんとデコピンを柴崎に噛まされて思わずおでこを手で覆った。
「寝てたんじゃないの。キ・ゼ・ツ!気絶したのよ。子どもが遊んで投げて遊んでた帽子がね、木にひっかかって、
あんたはそれをとってあげて・・な・ん・と山猿も木から落ちたの!そして見事に気絶・・・。
ちゃんと教官に謝っておきなさいよ。あの人生きた心地がしてなかったわよ、きっと」
「柴崎ぃ」
「なのに『ふん捕まえてやルゥ!』って急に叫んでもがいて、
ドアの横でじっと見張ってた教官がアンタにひとっとび・・・くはぁっはっはっは~~だめ!もう我慢できない!
すごい跳躍力よね?!あの人ったら!ドアからこのベッドまでよ?ぴょんときたのよ!じたばたしてるあんたの様子をみて!!
あっはっはっはっは~~」
「・・・・・・・」
「もうっもうっこれは小牧教官に報告せねば!」
「・・・・あぅぅぅ」
「はぁ~~笑った笑った。超お腹痛い」
「てめぇ・・・」
「あら?でも心配したのも本当よ?白目むいて急に暴れたから、わたしなんて反対にベッドから飛びのいたわよ」
「へ?しっ白目?」
「そうそう。ホラーみたいだっぶくくくくく」
「え~~教官もそれみちゃった?」
「え?どうだろう?教官はすぐにアンタに首をしめられてたから・・・」
「!!!!」
教官の首を絞めたぁ?!!!
いたたまれなくなり、郁は布団を頭から被った。
「ほら!なんともないなら帰るわよ!布団なんか被ってないで出てらっしゃい!」
「うぅぅぅ~~」
「うなっても怖いだけよ」
「布団から出たくないぃ・・・」
「暗いところでは目が光ったりしてないでしょうね?」
ひょいと布団を覗き込んだ柴崎に思わず怒鳴った。
「しばさきぃ!!・・・もがぁ!!」
「ぴりぴりしないの。ほら、それを舐めて糖分補給!」
叫んだ郁の口に投げ込まれたのは甘露飴だった。
「甘い」
がりがりり・・・。
「あ!またすぐ飴を噛む!それっておばちゃんになった証拠なんですってよ?」
「へ?マジで?」
ほけている間にささっと布団がたたまれて・・・「
ほら行くわよ」と柴崎にいわれれば、素直に靴を履くしかなかった。
「あ~~午後の業務があんたのおかげでつぶれたわ~」
「へ?そそそうか・・・ゴメン柴崎!」
「大丈夫よ。そこいらのひとより仕事が速いし?
それにいつも余裕をみて業務を進めてるからこれくらい挽回できる・わ・よっていっ」
「いた!頭が悪くなったらどうする?!」
「大丈夫よ~~これ以上ならないし?それにどうなっても教官が手取り足取りしてくれるわよ!」
その一言に何故か顔が熱くなり噴出す汗にハンカチを出した。
ちゃら・・・・
「あら?笠原。なんか落ちたわよ?」
「え?」
みると足元になにか光っている。
手にとって見るとそれは金の時計だった・・・。
裏を返すと、やっぱり小菊の中にウサギがいた。
でも前に見たのとちょっと違う。
このウサギは首に大きな蝶ネクタイをしている。
蝶ネクタイ・・・
堂上モドキみたいだな・・・
え~っとなんだっけ。マクドナルド・・・じゃなくて。
『あほう!マクトウィスプ・・だ!』
頭に響いてきた声に、思わず息が止まった。
「あら?なにそれ笠原?きれいね?」
柴崎に覗き込まれて、郁は我に帰った。
「え?うん・・・へへ・・・。」
それをポケットにしまって、郁は寮に向かって歩き出した。
もう暮れかかった太陽が黄金に輝いている。
金時計の小菊の中に埋もれた文に気がついたのは・・・だいぶ後のこと。
At least this body with you... (せめてこの身はあなたと共に・・・。)
おわり
不思議の国の笠原 (6 最終話 )
郁ちゃんは記憶が書き換えられてます。自分の事はメアリー・アン
それと、ウサギの耳が生えた堂上教官にそっくりなウサギ男の名前はマクトウィスプです。
イカレ帽子屋は小牧教官でねずみの彼女は毬江ちゃんです。
チシャ猫は柴崎の姿です。
マクトウィスプは花の森で花たちにいたぶられてます。
メアリー・アンの郁ちゃんはチシャ猫柴崎とお留守番しているところから始まります。
モブ朗先輩は4か6か迷いましたが、英語の響きでこっちにしました。
長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。これが最終話です。
☆☆☆
「はぁ~~~~~」
「なに?真昼間から辛気臭いもんを落とさないでくれる?」
「チシャ猫!?」
「はぁい?知ってるわよ~~昨日の騒ぎ。あんたもまんまと銀縁トカゲ男なんかの口車になんて乗るんじゃないわよ!」
「えぇ?しってんの?」
「知ってるわよ~~。それに、小さくなったアンタをカゴの中にいれたまま荷物のようにして運ぶ事だって出来たのに。
な~~に考えてるのかしら、あのウサギ男って」
「へ?」
「アンタもでっかいだのちっさいだのでめそめそすんじゃないわよ。
アンタがアンタだから・・・それでいいじゃないの。違う?」
「・・あたしみたいながさつで武骨な人間だからデカくてもい当然って事?」
「ちっがぁ~~~~~う!!」
思いっきり木の上から叫ばれて、ちょっとムッときた。
木登りなんてお手の物なんだからね、と・・・おっとスカートをはいてたんだった。
とスカートを撫で付けてて気になったこのごわつき。
スカートの中をおずおず確かめると、腿の辺りまでのブロワーズをはいていた。
・・・あのメイド喫茶のメイドさんがスカートの下にはいているやつだ。
あ~これなら木登りしてもいいかも。パンツみえないし。
本当はこれが下着そのものなのだが・・・知らない彼女はそのまま木登りをしようとチシャ猫がいる大木に手足をかけた。
ズキン・・・・・『おい!・・サハ・・!』・・・・身体に痛みと共に・・・頭の中に何かが走った。
「あ?っつつ痛っ・・・て誰の声??いたたた・・・」
「・・・・っと!・・・ちょっと!大丈夫アンタ?!」
チシャ猫の声に、はっと顔を上げた。
「え・私・・今?何?」
チシャ猫はすっと枝の上から姿を消し、彼女の足元へ降り立った。
「ふぅ。驚いたわ・・・もう大丈夫そうね」
「へ?なにが??」
「お前まで・・・こんなところで何をしている・・・」
「あらら・・・もと王子!お帰りなさいませ~~~!お久しぶりなのにつれないわぁ」
「いいから失せろ!」
「いやぁよ。私がどんな状態でいようと、あなた様にはもう関係ないはず・・でしょ?」
にっこりと微笑みながら、するすると完全な猫の姿になり、メアリー・アン(笠原)の肩へとひらりとあがり
さらに細くなって・・・
「みてみて~~あたしったら襟巻き♪うふふ!」
と彼女の首元に巻きついた。
「え?えぇ?」
「ふん!勝手にしろ!ほら、喰え!」
マクトウィスプ(堂上)は苦い顔をしながら、持ってきたバスケットを彼女へと手渡した。
カゴにはサンドイッチが入っており、それらは美味しかった。
食べる直前まで首元に巻きついていたチシャ猫も、いつの間にかにまた人に近い姿に戻ってお相伴に預かっている。
そして、日が暮れる前に三人は城の近くまできた。
昔は栄えた城下町あったであろう町並みは、何処も朽ちていて人影もまばらだ。
その少ない人影も一行の目に触れるのを恐れるように建物の影へと消えていく。
それらは本当に人だったのか、それとも・・ただの影?
そう考えると寒気がした。
再び首元に収まっているチシャ猫に彼女は小声で話しかけた。
「ねぇ・・・ここっていつもこんななの?」
「今の黒の女王になってからだわね・・・」
目の前に大きな門扉が立ちはだかった。
ウサギ男がずいっと門の前にきて、そしてよく響く声で門に向かって声をはった。
「マクトウィスプだ、黒の女王との謁見に参った・・・」
ぎぎぎぃっという音を立てながら門は開いた。
「ほら、行くぞ」
「はい」
門をくぐり広い広場を抜けて、いくつかのゲートをくぐりある館へと入った。
コツコツコツ・・・・暗い冷たい廊下に足音が響く。
あれ?気がつくと首にいたチシャ猫がいない。
あわてて見渡す。
どすん。
余所見をしていたために、前を歩いていたウサギ男の背にそのまま激突した。
「何してんだ!貴様は!!」
「すっすいません!!」
「ったく。いいかここでちょっと待てろ」
ぴこっと耳を動かしたかと思えば、ウサギ男はほぼウサギの姿になっていた。
そして扉の横にあった花台の下にある小さな扉から部屋の中へと入っていった。
小さな扉はすぐに閉まってしまったが、彼女がうひゃ~~と言いながら屈んで覗き込んでいると・・・
「ちょっとあんた悠長にしてんじゃないわよ」
あわてて花台の上を見ると、いつの間にかに花瓶の変わりにチシャ猫が寝そべっていた。
「ほら、口開けな」
「へ?」
口をあけたというよりも、疑問を発しただけなのだが、何かをチシャ猫の尻尾先から彼女の口に入れられた。
「んん?!甘っ!!」
「早く噛んじゃいなさい!」
がりり! 言われると同時ぐらいにすでに噛み砕いていた。
ぱぁっと懐かしい甘さが口に広がった。
・・・この味・・・知ってる!
「思い出した?あほ娘!さぁこれからが本番よ。アンタはまず、トランプどもが謁見のために、あなただけを別の棟へ連れていくわ。
別の当へは中庭を通るの。中庭に出たらすぐに身体の大きさを変えて、護衛カードのエースとフォースをなぎ倒しなさい。
そしてこの隣の部屋に手を突っ込んで部屋の中央に飾られているあの時計を奪うの。
そのあとはそのまま逃げればいいわ。城壁も門扉も、あなたのあの大きさMAXなら飛び越えられる。
あとはどこまでも走り続ければいいの、そうすれば元の世界よ。わかった?」
「うん!わかった!」
ずずっと身体がうずいた。
「こら!まだダメよ!本当に単純ネェ。あの人も苦労するわ・・・」
「え?何?」
「あっホラやつ等がきたわよ!じゃね♪幸運を祈るわ~♪」
コツコツと靴を響かせてトランプ兵が二人こちらへ廊下をやってきた。
「メアリー・アン様、女王陛下の謁見のお支度をこちらで整えますので、私どもにご同行ください。」
ぴらぴらっとトランプ兵たちは礼儀正しく礼をした。
その顔をみて驚愕した。
「えぇ?手塚?モブ朗先輩?」
「はぁ?」
「あ!な・・何でも無いです!さっ行きましょう!!」
「はっ!ではこちらに・・・。」
・・・あたしいつの間にかに記憶が戻ってる。
さっきの飴のおかげ?
あの柴崎チシャ猫のおかげ?
てか手塚とモブ朗先輩が薄いんですけど!!!
ぷっと鼻先をバラの香りがして我に返った。
中庭だ!!
「ふぅん!!!」
大きくなるなんてどうやっていいかなんてわからないので、とにかく腹に力を入れてみた。
ずっずずずずずずずずずずずずっ!!
「ごめんてづかぁ!!」
ぺしゃんぺしゃん!!
トランプ兵たちは簡単にたたまれてしまった。
郁は中庭で屈んで、チシャ猫柴崎が言っていた部屋を覗いた。
あれ?ない?
どこにも金時計を飾った部屋なんて無い!
そのとき、ある部屋の壁がちかっと光った。
小さな扉から白いおしりが見えた!!
「ウサギ男!」
がばっと身を起こすと建物の端からウサギ男が堂上の姿で逃げるのが見えた。
「あ!まって!!」
巨大化した郁の気配を感じてか、どの棟からもトランプ兵士達がわらわらと出てきている。
どすん!!・・・・どすん・・・・!!どすん・・・!!
柴崎チシャ猫の言うとおりに、巨大化したままひょいひょいと門や城壁を越えていく。
「まって!!」
くるりと眼下のウサギ男が振り返る。
その堂上の姿でこういった。
「ははっ!またデカくなったなぁ!おまえのままの大きさじゃ俺には追いつけないものなぁ!!これはお前の頭で考えたんじゃないな?化け猫の入れ知恵かぁ?!」
その瞳にわが身を写されたと自覚したとたん。
「ひゃぁぁぁぁ!!縮んでいく!!なんでぇ?」
最初は建物や人を踏まないようにと一歩一歩を慎重に下ろしていた郁だが、どんどん縮まる身体に思わず駆け足になる。
足は地に着いているが、目線がどんどん低くなるので高いところから落下している感覚だ。
慌てながらも視線は赤いフロックコートの後姿にロックオンしている。
「わっわっわっ!!」
ずだんん!・・・すだんん!・・・・だぁん!・・だん!・・だ!・・だ!・・・たった・・たったった
郁のだす足音が重くて大きなものから軽快なリズムを刻み始めた。
すでに城下は抜けて森の中だ。
「おっ元に戻りやがったな、しかし負けん!」
「うりやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!まちやがれ!堂上もどきめ!!」
「あぁ?記憶まで戻ったか?!ちっ」
「観念して時計を返せ!!」
「だめだ!やっぱりお前は元の世界なんて帰さない!!」
「え?それって?」
いつの間にかに森は切れて、目の前に大きな崖と釣り橋が登場した。
そのつり橋の中央にマクトウィスプ・・・ウサギ男堂上が立ち止まってこちらを振りかえる。
頑丈とはお世辞でもいえないつり橋は、マクトウィスプ一人の重さでもギシギシと悲鳴を上げている。
「こっちの世界とあっちの世界。・・・お前だけが片側にしかいない!
こんな世界は壊してやると思ったが、やめた。こっちで俺と一緒に暮らそう」
「はぁ?騙そうって魂胆ね!そうは行かないわよ!ふん捕まえてやるぅ!」
「ばかっ待つか!てか落ち着け!」
郁の踏み出した足の下で、乾いた音が鳴り響いた。
「はれれ??」
釣り端の乾いたが足元から音を立てて舞い落ちてて行く。
身体が縮んでいるのではなく、今度は本当に落ちているのだと・・・感じていた。
・・・ハラ!
カサハラ!!!
おい!!カサハラ!!!!
無我夢中で目の前に現れたウサギ男に手を伸ばした。
「んはぁって返せこのやろぉう!!」
郁は目の前のウサギ男の首根っこを引っつかんで思いっきり引き寄せる。
「っばか!お前!」
郁は顔に手をかけて引き剥がされた。
そして拳骨。
「つはぁ~~~~~!!(痛い!)」
「あ~~教官?この子本当にバカになっちゃいますよ。いくら頭を打ってないとはいえ、今まで気絶してたんですからぁ~」
「痛ぁっ!!!って??えぇ??しっ柴崎ぃ?!本当に柴崎ぃ?!」
ベット脇に立っていた柴崎を見つけると、思わず郁は抱きついた。
「あらららこの子ったら」
柴崎は勝利の笑みを堂上にむける。
ぐっと堂上の眉間にしわがよった。
「~~~問題ないなら俺は先に事務所へ戻る!笠原!お前はこのまま帰寮しろ!!荷物は後で手塚に届けさせる!」
「私が送っていきますから、上司への連絡・・お願いしまぁす!」
「ぐ・・・わかっとる!!」
そういうと堂上はさっさと医務室を後にした。
「へ?・・あれ?今の堂上教官?」
「やだあんた、本当に寝ぼけてたの?」
「へ?寝ぼけるって・・・やだ?夢?え?私寝てたの?って!」
ぺしんとデコピンを柴崎に噛まされて思わずおでこを手で覆った。
「寝てたんじゃないの。キ・ゼ・ツ!気絶したのよ。子どもが遊んで投げて遊んでた帽子がね、木にひっかかって、
あんたはそれをとってあげて・・な・ん・と山猿も木から落ちたの!そして見事に気絶・・・。
ちゃんと教官に謝っておきなさいよ。あの人生きた心地がしてなかったわよ、きっと」
「柴崎ぃ」
「なのに『ふん捕まえてやルゥ!』って急に叫んでもがいて、
ドアの横でじっと見張ってた教官がアンタにひとっとび・・・くはぁっはっはっは~~だめ!もう我慢できない!
すごい跳躍力よね?!あの人ったら!ドアからこのベッドまでよ?ぴょんときたのよ!じたばたしてるあんたの様子をみて!!
あっはっはっはっは~~」
「・・・・・・・」
「もうっもうっこれは小牧教官に報告せねば!」
「・・・・あぅぅぅ」
「はぁ~~笑った笑った。超お腹痛い」
「てめぇ・・・」
「あら?でも心配したのも本当よ?白目むいて急に暴れたから、わたしなんて反対にベッドから飛びのいたわよ」
「へ?しっ白目?」
「そうそう。ホラーみたいだっぶくくくくく」
「え~~教官もそれみちゃった?」
「え?どうだろう?教官はすぐにアンタに首をしめられてたから・・・」
「!!!!」
教官の首を絞めたぁ?!!!
いたたまれなくなり、郁は布団を頭から被った。
「ほら!なんともないなら帰るわよ!布団なんか被ってないで出てらっしゃい!」
「うぅぅぅ~~」
「うなっても怖いだけよ」
「布団から出たくないぃ・・・」
「暗いところでは目が光ったりしてないでしょうね?」
ひょいと布団を覗き込んだ柴崎に思わず怒鳴った。
「しばさきぃ!!・・・もがぁ!!」
「ぴりぴりしないの。ほら、それを舐めて糖分補給!」
叫んだ郁の口に投げ込まれたのは甘露飴だった。
「甘い」
がりがりり・・・。
「あ!またすぐ飴を噛む!それっておばちゃんになった証拠なんですってよ?」
「へ?マジで?」
ほけている間にささっと布団がたたまれて・・・「
ほら行くわよ」と柴崎にいわれれば、素直に靴を履くしかなかった。
「あ~~午後の業務があんたのおかげでつぶれたわ~」
「へ?そそそうか・・・ゴメン柴崎!」
「大丈夫よ。そこいらのひとより仕事が速いし?
それにいつも余裕をみて業務を進めてるからこれくらい挽回できる・わ・よっていっ」
「いた!頭が悪くなったらどうする?!」
「大丈夫よ~~これ以上ならないし?それにどうなっても教官が手取り足取りしてくれるわよ!」
その一言に何故か顔が熱くなり噴出す汗にハンカチを出した。
ちゃら・・・・
「あら?笠原。なんか落ちたわよ?」
「え?」
みると足元になにか光っている。
手にとって見るとそれは金の時計だった・・・。
裏を返すと、やっぱり小菊の中にウサギがいた。
でも前に見たのとちょっと違う。
このウサギは首に大きな蝶ネクタイをしている。
蝶ネクタイ・・・
堂上モドキみたいだな・・・
え~っとなんだっけ。マクドナルド・・・じゃなくて。
『あほう!マクトウィスプ・・だ!』
頭に響いてきた声に、思わず息が止まった。
「あら?なにそれ笠原?きれいね?」
柴崎に覗き込まれて、郁は我に帰った。
「え?うん・・・へへ・・・。」
それをポケットにしまって、郁は寮に向かって歩き出した。
もう暮れかかった太陽が黄金に輝いている。
金時計の小菊の中に埋もれた文に気がついたのは・・・だいぶ後のこと。
At least this body with you... (せめてこの身はあなたと共に・・・。)
おわり
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それなりに
旦那もち子もち主婦。
明るい自閉症児家庭を築いている天下の器用貧乏。
心は16歳と言い切る図太さをもつ。
基本的にアレルギー体質。
右と左を間違える。
「ず」と「づ」の使い分けが巧くない。
埃じゃ死なない。喘息にはなるけど。
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まるちゃ
性別:
女性
趣味:
なにかつくること


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