春風駘蕩
図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着
SS ことり 中編
☆☆☆
ことり ~ 中編 ~
あれから数日後。
今日の堂上班は館内業務だ。
返却本コーナーへ移された返却本を、平常書架へ戻す作業に笠原は当たっていた。
ワゴンに移す際に、もう一度絵本は破損が無いか軽くだが調べる。
絵本は内容も様式も自由で、見ていて飽きない。
うっかり読み込まないように気をつけなくてはいけないのが、この作業の厄介なところだなと、笠原は感じている。
ワゴンに書名で五十音順に整理して乗せてから、絵本の書架へ足をすすめた。
あるコーナーでふと自分に影かかかる。
利用者かと思い「失礼しました」と身体をずらして書架の前を空けると、
「おい」と言う声が降り注いだ。
顔を上げると、やはり堂上だった。
「教官?なんですか?私なんかしちゃいました?」
「違う。これな・・・新しく入った絵本だ。これも戻しといてくれ。」
「はい。」
まだ去らない堂上に、笠原は絵本に向けられていた視線を堂上に向けた。
「それな・・・なかなか・・・まぁ機会があったら読んでみろ。」
それだけ言うと、笠原の返事を聞かずに立ち去ってしまった。
もう一度手の中にある絵本を見る。
「・・・・・・ことりのピチコ。」
もしかして教官おすすめの本?
え?教官が絵本?ってすごい表紙から可愛いんだけど・・・。
今ここで開いて読みたいのはやまやまだが、それは許されない。
最後まで配架をやり終えてから、再びカ行のコーナーへ戻って、その絵本を棚に収めた。
絵本の背表紙を指で軽くなぞる。
(どうか昼休憩まで誰にも借りられえませんように!!)
眉間にしわを寄せながら願う笠原を、柴崎はほほえましく見つめていた。
(というか一部始終、利用者のリファレンスをしながら見ていたんだが・・・)
やっと念願の昼休憩に入れた。
「あれ?笠原さんは食堂へは行かないの?」
バックヤードから館内へ出る扉を開けたところで小牧に声をかけられた。
「あ。今日はちょっとコンビニ弁当を食べたい気分なので・・・。」
もちろん、コンビニへ向かうのは館内からではなく、専用の出入り口から行くのだから方向が真逆だ。
小牧はそれにもちろん気がついているが、そのまま笑顔で見送った。
「そう?気をつけてね。」
「は・・はい!」
笠原は走る思いで館内を移動し、「こここここここ・・・」と言いながらカ行の絵本の棚の前で懸命にたどる。
「あった!よかったぁ~~~!」
絵本をぎゅっと一回やってから、カウンターへ向かうと柴崎がカウンターにいた。
「あら、勉強熱心ね~~。」
「べっ別に勉強って訳じゃないけど・・・。」
「ふぅん・・・。」
「私、もう休憩入るけどどうする?」
「へ?あ~~あのぅ」
「今日はお勉強のがしたそうねぇ」
「だっだから勉強ってわけでは・・・」
「はい。どうぞ~。貸し出しは二週間です。」と絵本をずいっと笠原へ渡す柴崎は満面の笑顔だが、それがちょっと怖い・・・と思う笠原であった。
郁は絵本をトートバックに入れてからコンビニへと急いだ。
お弁当とアメリカンドックと、それとヨーグルトとお茶を買う。
ヨーグルトはいつもイチゴかイチジクか・・・それともミックスかと迷うが、今日は迷わず選んだ。
とにかく近くの公園へと急いだ。
公園には大きな噴水がある。
その周りんいはベンチがあり、比較的にそこでお弁当を食べる人がいる。
しかし郁は噴水の手前の木々の奥にある、小さなため池のほとりが好きだった。
ここから湧き水がわいていて、脇に小さく流れが出来ている。
ちょろちょろと流れる水の音が好きだった。
お弁当を食べ終わると、手を軽く湧き水につけて手を洗う。
それからベンチに戻ってトートバックから絵本を取り出した。
「かわいい・・・。」
柔らかいタッチの絵に引き込まれて、言葉少ないその絵本の世界に引き込まれる。
読み終わってから、またぎゅっと抱きしめた。
「あの雛も、おとうさんとおかあさんのところに帰れたかな?」
郁のお気に入りがまたひとつ増えた。
こちらは隊員食堂。
堂上班の男達が黙々と食事を取っていた。
「あのこちらいいですか?」
顔を上げると柴崎がサラダとパスタを乗せたトレーを、返事を待たずに手塚の隣に置いた。
「あぁ。」
「失礼します」
「柴崎さんは今からお昼?」
「はい。」
「今日、笠原は外だぞ」
「知ってるわよ。だってさっき絵本を嬉しそうに借りてったもん。」
「なんでそれが外で食事って判るんだよ?本借りた後に食堂ってことだってあるだろ?」
「ふふふ~。今日のはすぐ読みたがってるのがありありだもん。あの子ね、お気に入りの読書の場所があってね。そういう時はコンビニでお弁当を買ってそこへ行くのよ。」
「へぇ~読書の場所?基地内じゃないの?」
「小牧教官、あそこの公園に湧き水のため池があるの知ってます?」
「あぁ、あのジョギングコース沿いの?」
「そうです。そこのベンチに座って読むのがすきなんですよ。今頃、あの天然娘はかわい~~~い表情晒しまくりで読んでますよ、今頃!」
くすりと微笑みながら柴崎は話す。
「あれ?堂上、もう行くの?」
「あぁ・・・ちょとシャンプーの替えが切れててな、ちょっとひとっ走り休憩中に買ってくる。」
「二正。今二正と同じシャンプーを使っていて、ちょうどストックがありますので後でお持ちしましょうか?」
「やだ!手塚ったらシャンプーまでおそろい?きゃ~~なんかやらしいぃ!」
「や!やらしいってなんでだよ!たまたまだなぁ、使ってみたら髪質にあうっていうかだなぁ!」
「いや、他にも用事があるからな・・気を使わんでいい・・・」
そういうと堂上は足早に食堂を後にした。
その姿に小牧がの上戸が決壊する。
「ひぃ~~も、もうだめ!!俺これ以上食えない!!」
「その上戸・・・さらに煽っちゃう事になりますけど・・・・。その絵本をお薦めしたの堂上教官ですよ。」
「え?くくくっ・・・・・・何?どういうこと?」
「先ほど配架作業の笠原の周りを、教官はうろうろしてましてね~。
話しかける間合いを計っているっていうんですか?あの娘は偶然を装ったそぶりにころっと騙されますから~。」
「そして今も・・・かな?」
「偶然に公園で鉢合せですね~~。」
「なんとも歯がゆいなぁ~~」
「ふふふ」
☆後編へ続く☆
ことり ~ 中編 ~
あれから数日後。
今日の堂上班は館内業務だ。
返却本コーナーへ移された返却本を、平常書架へ戻す作業に笠原は当たっていた。
ワゴンに移す際に、もう一度絵本は破損が無いか軽くだが調べる。
絵本は内容も様式も自由で、見ていて飽きない。
うっかり読み込まないように気をつけなくてはいけないのが、この作業の厄介なところだなと、笠原は感じている。
ワゴンに書名で五十音順に整理して乗せてから、絵本の書架へ足をすすめた。
あるコーナーでふと自分に影かかかる。
利用者かと思い「失礼しました」と身体をずらして書架の前を空けると、
「おい」と言う声が降り注いだ。
顔を上げると、やはり堂上だった。
「教官?なんですか?私なんかしちゃいました?」
「違う。これな・・・新しく入った絵本だ。これも戻しといてくれ。」
「はい。」
まだ去らない堂上に、笠原は絵本に向けられていた視線を堂上に向けた。
「それな・・・なかなか・・・まぁ機会があったら読んでみろ。」
それだけ言うと、笠原の返事を聞かずに立ち去ってしまった。
もう一度手の中にある絵本を見る。
「・・・・・・ことりのピチコ。」
もしかして教官おすすめの本?
え?教官が絵本?ってすごい表紙から可愛いんだけど・・・。
今ここで開いて読みたいのはやまやまだが、それは許されない。
最後まで配架をやり終えてから、再びカ行のコーナーへ戻って、その絵本を棚に収めた。
絵本の背表紙を指で軽くなぞる。
(どうか昼休憩まで誰にも借りられえませんように!!)
眉間にしわを寄せながら願う笠原を、柴崎はほほえましく見つめていた。
(というか一部始終、利用者のリファレンスをしながら見ていたんだが・・・)
やっと念願の昼休憩に入れた。
「あれ?笠原さんは食堂へは行かないの?」
バックヤードから館内へ出る扉を開けたところで小牧に声をかけられた。
「あ。今日はちょっとコンビニ弁当を食べたい気分なので・・・。」
もちろん、コンビニへ向かうのは館内からではなく、専用の出入り口から行くのだから方向が真逆だ。
小牧はそれにもちろん気がついているが、そのまま笑顔で見送った。
「そう?気をつけてね。」
「は・・はい!」
笠原は走る思いで館内を移動し、「こここここここ・・・」と言いながらカ行の絵本の棚の前で懸命にたどる。
「あった!よかったぁ~~~!」
絵本をぎゅっと一回やってから、カウンターへ向かうと柴崎がカウンターにいた。
「あら、勉強熱心ね~~。」
「べっ別に勉強って訳じゃないけど・・・。」
「ふぅん・・・。」
「私、もう休憩入るけどどうする?」
「へ?あ~~あのぅ」
「今日はお勉強のがしたそうねぇ」
「だっだから勉強ってわけでは・・・」
「はい。どうぞ~。貸し出しは二週間です。」と絵本をずいっと笠原へ渡す柴崎は満面の笑顔だが、それがちょっと怖い・・・と思う笠原であった。
郁は絵本をトートバックに入れてからコンビニへと急いだ。
お弁当とアメリカンドックと、それとヨーグルトとお茶を買う。
ヨーグルトはいつもイチゴかイチジクか・・・それともミックスかと迷うが、今日は迷わず選んだ。
とにかく近くの公園へと急いだ。
公園には大きな噴水がある。
その周りんいはベンチがあり、比較的にそこでお弁当を食べる人がいる。
しかし郁は噴水の手前の木々の奥にある、小さなため池のほとりが好きだった。
ここから湧き水がわいていて、脇に小さく流れが出来ている。
ちょろちょろと流れる水の音が好きだった。
お弁当を食べ終わると、手を軽く湧き水につけて手を洗う。
それからベンチに戻ってトートバックから絵本を取り出した。
「かわいい・・・。」
柔らかいタッチの絵に引き込まれて、言葉少ないその絵本の世界に引き込まれる。
読み終わってから、またぎゅっと抱きしめた。
「あの雛も、おとうさんとおかあさんのところに帰れたかな?」
郁のお気に入りがまたひとつ増えた。
こちらは隊員食堂。
堂上班の男達が黙々と食事を取っていた。
「あのこちらいいですか?」
顔を上げると柴崎がサラダとパスタを乗せたトレーを、返事を待たずに手塚の隣に置いた。
「あぁ。」
「失礼します」
「柴崎さんは今からお昼?」
「はい。」
「今日、笠原は外だぞ」
「知ってるわよ。だってさっき絵本を嬉しそうに借りてったもん。」
「なんでそれが外で食事って判るんだよ?本借りた後に食堂ってことだってあるだろ?」
「ふふふ~。今日のはすぐ読みたがってるのがありありだもん。あの子ね、お気に入りの読書の場所があってね。そういう時はコンビニでお弁当を買ってそこへ行くのよ。」
「へぇ~読書の場所?基地内じゃないの?」
「小牧教官、あそこの公園に湧き水のため池があるの知ってます?」
「あぁ、あのジョギングコース沿いの?」
「そうです。そこのベンチに座って読むのがすきなんですよ。今頃、あの天然娘はかわい~~~い表情晒しまくりで読んでますよ、今頃!」
くすりと微笑みながら柴崎は話す。
「あれ?堂上、もう行くの?」
「あぁ・・・ちょとシャンプーの替えが切れててな、ちょっとひとっ走り休憩中に買ってくる。」
「二正。今二正と同じシャンプーを使っていて、ちょうどストックがありますので後でお持ちしましょうか?」
「やだ!手塚ったらシャンプーまでおそろい?きゃ~~なんかやらしいぃ!」
「や!やらしいってなんでだよ!たまたまだなぁ、使ってみたら髪質にあうっていうかだなぁ!」
「いや、他にも用事があるからな・・気を使わんでいい・・・」
そういうと堂上は足早に食堂を後にした。
その姿に小牧がの上戸が決壊する。
「ひぃ~~も、もうだめ!!俺これ以上食えない!!」
「その上戸・・・さらに煽っちゃう事になりますけど・・・・。その絵本をお薦めしたの堂上教官ですよ。」
「え?くくくっ・・・・・・何?どういうこと?」
「先ほど配架作業の笠原の周りを、教官はうろうろしてましてね~。
話しかける間合いを計っているっていうんですか?あの娘は偶然を装ったそぶりにころっと騙されますから~。」
「そして今も・・・かな?」
「偶然に公園で鉢合せですね~~。」
「なんとも歯がゆいなぁ~~」
「ふふふ」
☆後編へ続く☆
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