春風駘蕩
図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着
SS 彼の色
ども♪まるちゃでし
こちらは前回の「SS 君の色」の続編になります。
本当は一話ものだったのですが、拍手に寄せられたコメントのお返事を考えていたら、浮かびました。
萌えは走るよどこまでも!(笑)
また皆様の拍手へぱちぽち☆お待ちしています!
では☆ 彼の色 ☆より、どうぞ。
上官部下時代。王子様発覚後の恋する乙女発動初期です。
こちらは前回の「SS 君の色」の続編になります。
本当は一話ものだったのですが、拍手に寄せられたコメントのお返事を考えていたら、浮かびました。
萌えは走るよどこまでも!(笑)
また皆様の拍手へぱちぽち☆お待ちしています!
では☆ 彼の色 ☆より、どうぞ。
上官部下時代。王子様発覚後の恋する乙女発動初期です。
☆☆☆
上官部下時代。王子様発覚後
SS君の色・・そのあと。
「笠原!おまえなぁ!いい加減にしろ!」
「ひゃぁ?!ななななな何がですか?」
堂上はその笠原の反応に深く深くため息を落とした。
「はぁ~~~~~~~」
「む、なんですか!そのため息!」
「貴様がつかせたため息だ、存分に味わえ・・・。」
「はぁ~~~!もうなんですかそれ!味わえって何様!」
「上官に何様とかいうお前が何様だ!」
前のめり気味に顔を近づけてきた笠原のおでこを、堂上は軽くデコピンした。
「いた!痛いです!教官!」
「手加減したぞ。おでこも鍛えとけ!」
そういい捨てると堂上はさっさと背を向けて事務所を去っていった。
「くくくく、苦戦してるね?笠原さん?」
「え?やだっ!またなんか独り言を言ってましたか?」
「ううん。言ってないよ。気になるのもわかるけどね。、自分で直接・・じゃなくても調べる方法はあるんじゃないかな?」
「ええ?じゃぁあのっ小牧きょうか・・」
「ストップ。俺からはここまで。じゃぁね」
「えぇ~~~!」
にっこりと小牧に微笑まれて、ちょっと背筋が寒くなった。
「はい・・了解しました。」
そういう笠原にもう一度視線を送ってから、
いくつかの書類を手にした小牧もかろやかに席を後にした。
「お前、うるさいぞさっきから。ちっとも資料すすんでないんじゃないか?」
ここぞと言うタイミングで突っ込んでくるのは手塚だ。
「うるさい。」
「注意されたくなかったら自分で気をつけろ。大人だろ?」
「うわ!ムカツク!」
でも言われたことは真っ当な気がするのでとにかく手を動かした。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「ねぇ、手塚?」
「お前の沈黙は本当に短いな。なんだよ。」
「むむぅ・・・あのさ、手塚は堂上教官の・・・好きな・・・好きな色って知ってる?」
「知らない。」
「あっそ。やっぱり。」
「やっぱりってなんだよ。」
「堂上大好きっこだけど一方的な感じが手塚らしい」
「・・・お前だって一方的だろ?」
「はぁ???!!何いってんの?」
「なんだよ、そんなに怒ること言ったか俺?」
言った言った言った!!!
笠原の乙女心は激しく傷ついた!
私の片思いってことはよく分かってるもん!
酷い!だからって!って・・・・まて!自分!
手塚に気持ちがばれてるの???
え?え?私の気持ちがバ・レ・バ・レですか?
「えぇ~~~!!!!!!!」笠原は叫ぶと同時に立ち上がってしまった
。
「手塚っ!!あんた!!!」
「・・な。なんだよ?」
手塚はわからなかった。
さっきまで堂上二正になにやら叱られていた笠原は、叱られても一向に業務に身をいれない。
小牧二正にまでなにやら注意を受けて、了解したと返答したのにもかかわらず、まだ姿勢を改めない。
上官二人に指摘されても身を入れんバカなのに、いやもともとバカにもかかわらずだ、
この上官たちは笠原を見放さずに、指導に余念が無い。
堂上二正のほうは小牧二正や他の先輩方に言わせれば「過保護すぎる」そうだが・・・確かにひいきされてると思うことがある。
なんでコイツばかり、と。
いや、笠原にやきもちとか、そういうのではなく。
堂上二正にアレだけ目をかけてもらってるのに、こいつのアホぶりは止まらないし、こうして時々業務を止める。
どうして上官たちの気持ちがわからないのか、それに報いようとしないのか。
ある先輩は「あの指導な~、いつまでも堂上の一方的な感じがな~見てて不憫というか飽きないというか・・」と言っていた。
他の先輩に「不憫」と言わせる笠原に腹が立っていた。
腹が立っていたのはこっちなのに、なんで俺が今、笠原に胸倉を掴まれてにらまれるんだ!
「離せ!業務中だろうが!」
引き剥がそうとして左手で笠原の手を掴み、笠原の顔に右手をかけようとした。
「ぎゃぶ!!」
ごいんと言う音とが下と思ったら、俺の襟元は開放された。
俺が掴んでいたはずの笠原の右手は、いつの間にはがされて堂上二正がにぎっている。
・・・多少自分の左手に痛みを感じるのは気のせいだろう。
「痛っい!って分厚っ!」背後に立つ堂上が手に持っていたのは、資料をパンパンにはさんだファイル(極厚)だった。
資料を自席においた堂上が、腕を掴んだまま笠原を事務所から連れ出す。
「え?え?教官?」
廊下に出されてしまった。
業務中に、それも明らかに怒気をはなった背中で連れ出されてしまい、
それ以上声が出ない。
「・・・・。」
「言いたいことはあるか?」
「・・・ありません・・・すいませんでした。」
「勤務中だとわかってるはずだ。それに月末は業務が貯まってくる。」
「・・・・・はい。」
「なにか俺に相談したいこととかあるなら、業務後に時間をとるから、今はとにかく業務に集中しろ。」
「はい。」
「で。どうする?」
「はい?」
「なにか悩み事でもあるのか?」
「えぇ?」
笠原の動揺振りに堂上は動かされてしまう。
「なんだ?何を隠している?心配事か?」・・なんだ俺には言えないことなのか?だからあんなに言いよどんでいたのか?
「え?ち違います!」・・・どうしよう!「好きな色」が知りたいだなんて・・・私・・子どもだった・・・。何を浮ついていたんだろう。
「笠原!」・・・言え!俺に全部!
「あの!大丈夫です!本当に何もありません!」・・・教官に信頼される部下じゃないよね。こんなの。しっかりしなきゃ私!
「・・・本当に・・か?」・・・本当に?本当に大丈夫か?
「はい!」
笠原はそういって背筋を伸ばして堂上を見つめた。
その瞳の色に、凛とした態度に堂上はいつも動けなくなる。
「・・・教官?」
「あぁ、わかった。手塚にもちゃんと謝っておけ。業務時間はしっかり身を入れてくれ。」
「はい!」
その笑顔に、ふっと一呼吸。
目の前の笠原の顔色がさっと染まった。
「ほら、戻るぞ」
その染まった意味に背を向けて事務所のドアを開けた。
「はぁ・・・・。」
「なによ?どうしたの?」
一日の業務はなんとか少しの残業で本日の目処がついた。
寮の部屋に戻ると、今日の自分の失態が胃に重かった。
「・・なんでもない」
「そ。」
同室の柴崎は無関心に返事をした。
テレビをなんとなく見ている。
毎週みている旅行番組だった。
画面に広がる青い海。
「わぁ~。いいわねぇ~こういうところのスパリゾートとかでゆっくりしたいわぁ~」
「・・うん。」
白い砂浜に立つ女優。
『見てください!これ、昨日草木染してもらった私のスカートです!』
『わぁ~鮮やかな青ですね!』
『藍染に使った藍は、この島で栽培されたものなんです。それを使ってこういったものも染めてくださる工房へ行ってきました!』
「あら~素敵な青ね!堂上教官が好きな色よね~ああいう濃い青っていうか藍色?」
「・・・へ?」
「だから堂上教官が好きな色よ。藍色っていうかインディゴっていうか?」
「何でしってんの?」
「あら~アンタは私が誰だと思ってるのかしら?」
「・・・柴崎。」
「そんなに頬を染めるほど知りたい情報だったの~?ん?」
「え?そ・・それは・・・」
「はぁい情報料発生しました!」
「えぇっ?」
「のどか沸いた~~~!新しく自販機に入ったアセロラソーダ買ってきて~~!」
「え~もう・・・しょうがないなぁ。」
まぁ自分も喉が渇いてるし、私もなんか買ってこよう。それにあんなに知りたかった情報がコロンと手に入り、
笠原は満足していた。
がっこん・・・。
がっこん・・・。
「よいしょっと」
「笠原?」屈んでジュースを取り出している背後から呼ばれた。
振り向かなくても誰かはわかる。平常心・平常心!と唱えた。
自販機の前にしゃがんでから振り向くと、やはりそこには堂上が立っていた。
「あ、教官。まさかいま帰りです・・・か?」
「ん。ちょっと事務所で他班のやつと話込んでしまってな。別に残業をぎりぎりまでしてたわけじゃない。」
そういいながらポケットから小銭をだした。
その時、ちゃりんと音をたてて引き抜いた手から何かが落ちた。
「教官、落ちましたよ」
堂上の足元に落ちたものを拾うと、それは寮の部屋の鍵だった。
黒い皮のキーホルダーケースから、寮の鍵と天然石がはめられたキーホルダーが下がっている。
「ラピスラズリ・・・。」
手の中の石に目が釘付けになる。
「さすが女はこういったのに詳しいな。」
「お好きなんですか?」
「ん。この石がすきなんじゃなくて・・・こういう濃い青がすきなんだ。」
「そうですか。」
立ち上がって鍵を渡す。
堂上は自販機かた出したミネラルウォーターを小脇に抱えて、笠原から鍵を受け取った。
自然と重そうな書類カバンに笠原は目が向いた。
うつむいた頭をぽんぽんと叩かれる。
「じゃぁ・・な」
あわてて顔を上げると、堂上はすでに背を向けて男子寮のドアへ向かっている。
「はい!お休みなさい!」
なぜかお辞儀をしながら叫んでしまった。
もちろん寝るにはまだ早いが、返す言葉が思いつかなかった。
その声が自分でも驚くほど大きくフロアに響いた。
とっさに下げた頭を上げると、ドアを肩で押しながら堂上がこちらをみている。
『ばか・・でかい』
そう口だけ笠原へ動かしてみせると、堂上はすぐにドアの向こうに消えて言った。
そのときの笑顔は、今日の事務室に戻る時のあの笑顔と同じで、
それだけで胸がいっぱいになっちゃう・・・・乙女笠原の眠れぬ夜は更けていった。
おわり
上官部下時代。王子様発覚後
SS君の色・・そのあと。
「笠原!おまえなぁ!いい加減にしろ!」
「ひゃぁ?!ななななな何がですか?」
堂上はその笠原の反応に深く深くため息を落とした。
「はぁ~~~~~~~」
「む、なんですか!そのため息!」
「貴様がつかせたため息だ、存分に味わえ・・・。」
「はぁ~~~!もうなんですかそれ!味わえって何様!」
「上官に何様とかいうお前が何様だ!」
前のめり気味に顔を近づけてきた笠原のおでこを、堂上は軽くデコピンした。
「いた!痛いです!教官!」
「手加減したぞ。おでこも鍛えとけ!」
そういい捨てると堂上はさっさと背を向けて事務所を去っていった。
「くくくく、苦戦してるね?笠原さん?」
「え?やだっ!またなんか独り言を言ってましたか?」
「ううん。言ってないよ。気になるのもわかるけどね。、自分で直接・・じゃなくても調べる方法はあるんじゃないかな?」
「ええ?じゃぁあのっ小牧きょうか・・」
「ストップ。俺からはここまで。じゃぁね」
「えぇ~~~!」
にっこりと小牧に微笑まれて、ちょっと背筋が寒くなった。
「はい・・了解しました。」
そういう笠原にもう一度視線を送ってから、
いくつかの書類を手にした小牧もかろやかに席を後にした。
「お前、うるさいぞさっきから。ちっとも資料すすんでないんじゃないか?」
ここぞと言うタイミングで突っ込んでくるのは手塚だ。
「うるさい。」
「注意されたくなかったら自分で気をつけろ。大人だろ?」
「うわ!ムカツク!」
でも言われたことは真っ当な気がするのでとにかく手を動かした。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「ねぇ、手塚?」
「お前の沈黙は本当に短いな。なんだよ。」
「むむぅ・・・あのさ、手塚は堂上教官の・・・好きな・・・好きな色って知ってる?」
「知らない。」
「あっそ。やっぱり。」
「やっぱりってなんだよ。」
「堂上大好きっこだけど一方的な感じが手塚らしい」
「・・・お前だって一方的だろ?」
「はぁ???!!何いってんの?」
「なんだよ、そんなに怒ること言ったか俺?」
言った言った言った!!!
笠原の乙女心は激しく傷ついた!
私の片思いってことはよく分かってるもん!
酷い!だからって!って・・・・まて!自分!
手塚に気持ちがばれてるの???
え?え?私の気持ちがバ・レ・バ・レですか?
「えぇ~~~!!!!!!!」笠原は叫ぶと同時に立ち上がってしまった
。
「手塚っ!!あんた!!!」
「・・な。なんだよ?」
手塚はわからなかった。
さっきまで堂上二正になにやら叱られていた笠原は、叱られても一向に業務に身をいれない。
小牧二正にまでなにやら注意を受けて、了解したと返答したのにもかかわらず、まだ姿勢を改めない。
上官二人に指摘されても身を入れんバカなのに、いやもともとバカにもかかわらずだ、
この上官たちは笠原を見放さずに、指導に余念が無い。
堂上二正のほうは小牧二正や他の先輩方に言わせれば「過保護すぎる」そうだが・・・確かにひいきされてると思うことがある。
なんでコイツばかり、と。
いや、笠原にやきもちとか、そういうのではなく。
堂上二正にアレだけ目をかけてもらってるのに、こいつのアホぶりは止まらないし、こうして時々業務を止める。
どうして上官たちの気持ちがわからないのか、それに報いようとしないのか。
ある先輩は「あの指導な~、いつまでも堂上の一方的な感じがな~見てて不憫というか飽きないというか・・」と言っていた。
他の先輩に「不憫」と言わせる笠原に腹が立っていた。
腹が立っていたのはこっちなのに、なんで俺が今、笠原に胸倉を掴まれてにらまれるんだ!
「離せ!業務中だろうが!」
引き剥がそうとして左手で笠原の手を掴み、笠原の顔に右手をかけようとした。
「ぎゃぶ!!」
ごいんと言う音とが下と思ったら、俺の襟元は開放された。
俺が掴んでいたはずの笠原の右手は、いつの間にはがされて堂上二正がにぎっている。
・・・多少自分の左手に痛みを感じるのは気のせいだろう。
「痛っい!って分厚っ!」背後に立つ堂上が手に持っていたのは、資料をパンパンにはさんだファイル(極厚)だった。
資料を自席においた堂上が、腕を掴んだまま笠原を事務所から連れ出す。
「え?え?教官?」
廊下に出されてしまった。
業務中に、それも明らかに怒気をはなった背中で連れ出されてしまい、
それ以上声が出ない。
「・・・・。」
「言いたいことはあるか?」
「・・・ありません・・・すいませんでした。」
「勤務中だとわかってるはずだ。それに月末は業務が貯まってくる。」
「・・・・・はい。」
「なにか俺に相談したいこととかあるなら、業務後に時間をとるから、今はとにかく業務に集中しろ。」
「はい。」
「で。どうする?」
「はい?」
「なにか悩み事でもあるのか?」
「えぇ?」
笠原の動揺振りに堂上は動かされてしまう。
「なんだ?何を隠している?心配事か?」・・なんだ俺には言えないことなのか?だからあんなに言いよどんでいたのか?
「え?ち違います!」・・・どうしよう!「好きな色」が知りたいだなんて・・・私・・子どもだった・・・。何を浮ついていたんだろう。
「笠原!」・・・言え!俺に全部!
「あの!大丈夫です!本当に何もありません!」・・・教官に信頼される部下じゃないよね。こんなの。しっかりしなきゃ私!
「・・・本当に・・か?」・・・本当に?本当に大丈夫か?
「はい!」
笠原はそういって背筋を伸ばして堂上を見つめた。
その瞳の色に、凛とした態度に堂上はいつも動けなくなる。
「・・・教官?」
「あぁ、わかった。手塚にもちゃんと謝っておけ。業務時間はしっかり身を入れてくれ。」
「はい!」
その笑顔に、ふっと一呼吸。
目の前の笠原の顔色がさっと染まった。
「ほら、戻るぞ」
その染まった意味に背を向けて事務所のドアを開けた。
「はぁ・・・・。」
「なによ?どうしたの?」
一日の業務はなんとか少しの残業で本日の目処がついた。
寮の部屋に戻ると、今日の自分の失態が胃に重かった。
「・・なんでもない」
「そ。」
同室の柴崎は無関心に返事をした。
テレビをなんとなく見ている。
毎週みている旅行番組だった。
画面に広がる青い海。
「わぁ~。いいわねぇ~こういうところのスパリゾートとかでゆっくりしたいわぁ~」
「・・うん。」
白い砂浜に立つ女優。
『見てください!これ、昨日草木染してもらった私のスカートです!』
『わぁ~鮮やかな青ですね!』
『藍染に使った藍は、この島で栽培されたものなんです。それを使ってこういったものも染めてくださる工房へ行ってきました!』
「あら~素敵な青ね!堂上教官が好きな色よね~ああいう濃い青っていうか藍色?」
「・・・へ?」
「だから堂上教官が好きな色よ。藍色っていうかインディゴっていうか?」
「何でしってんの?」
「あら~アンタは私が誰だと思ってるのかしら?」
「・・・柴崎。」
「そんなに頬を染めるほど知りたい情報だったの~?ん?」
「え?そ・・それは・・・」
「はぁい情報料発生しました!」
「えぇっ?」
「のどか沸いた~~~!新しく自販機に入ったアセロラソーダ買ってきて~~!」
「え~もう・・・しょうがないなぁ。」
まぁ自分も喉が渇いてるし、私もなんか買ってこよう。それにあんなに知りたかった情報がコロンと手に入り、
笠原は満足していた。
がっこん・・・。
がっこん・・・。
「よいしょっと」
「笠原?」屈んでジュースを取り出している背後から呼ばれた。
振り向かなくても誰かはわかる。平常心・平常心!と唱えた。
自販機の前にしゃがんでから振り向くと、やはりそこには堂上が立っていた。
「あ、教官。まさかいま帰りです・・・か?」
「ん。ちょっと事務所で他班のやつと話込んでしまってな。別に残業をぎりぎりまでしてたわけじゃない。」
そういいながらポケットから小銭をだした。
その時、ちゃりんと音をたてて引き抜いた手から何かが落ちた。
「教官、落ちましたよ」
堂上の足元に落ちたものを拾うと、それは寮の部屋の鍵だった。
黒い皮のキーホルダーケースから、寮の鍵と天然石がはめられたキーホルダーが下がっている。
「ラピスラズリ・・・。」
手の中の石に目が釘付けになる。
「さすが女はこういったのに詳しいな。」
「お好きなんですか?」
「ん。この石がすきなんじゃなくて・・・こういう濃い青がすきなんだ。」
「そうですか。」
立ち上がって鍵を渡す。
堂上は自販機かた出したミネラルウォーターを小脇に抱えて、笠原から鍵を受け取った。
自然と重そうな書類カバンに笠原は目が向いた。
うつむいた頭をぽんぽんと叩かれる。
「じゃぁ・・な」
あわてて顔を上げると、堂上はすでに背を向けて男子寮のドアへ向かっている。
「はい!お休みなさい!」
なぜかお辞儀をしながら叫んでしまった。
もちろん寝るにはまだ早いが、返す言葉が思いつかなかった。
その声が自分でも驚くほど大きくフロアに響いた。
とっさに下げた頭を上げると、ドアを肩で押しながら堂上がこちらをみている。
『ばか・・でかい』
そう口だけ笠原へ動かしてみせると、堂上はすぐにドアの向こうに消えて言った。
そのときの笑顔は、今日の事務室に戻る時のあの笑顔と同じで、
それだけで胸がいっぱいになっちゃう・・・・乙女笠原の眠れぬ夜は更けていった。
おわり
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