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春風駘蕩

図書館戦争にずぶずぶはまり、とうとう二次の大陸に到着

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SS Bouquet of candy

どもまるちゃでし!

もう通常更新かと思われる方もいるかもしれませんが、
一日も早く「通常」に・・・普通に常に・・・笑って生活できる日々が多くの人に訪れるようにと願いをこめての、通常更新です。

ちょっと遅れましたが、ホワイトディものです。
あまり甘くないです。
最初は上官部下で、後半は変わります。

ん、老眼鏡をちょっとずらして鼻にかけてる副隊長っていいよね。(あれ?)


では ☆ Bouquet of candy ☆からどうぞ。


拍手[76回]

☆☆☆


Bouquet of candy

三月の初めの公休日。
堂上は一人、基地の近くの大型のドラックストアにいた。
最近出来たこのお店は、日用品や薬品のほかにも酒類や食品・・・・
お菓子やおつまみや保存食など、スーパー顔負けの品揃えをしている。

堂上はいつも使うシャンプーや洗剤などをぽんぽんとカゴに入れると、お酒のコーナーへ向かった。
スーパーよりもここの方が価格が低いし、扱う商品も多い。
そんなビールやらそれっぽいお酒のダンボールが無造作に並ぶ中から、お気に入りの銘柄のものをケースのまま抱えて、そのままつまみコーナーへと回った。
このコーナーでも自分や親友や部下の好みに合いそうなものをぽんぽんと選んでかごへといれる。

女性の買い物に比べると、ずいぶんと簡素で短い。
迷うとか新商品との出会いを求めるということが無いのでいちいち悩む必要がない。

しかし、堂上はここにきて始めて足をとめて悩み始めた。

「・・・・・」

そこはスーパーほど華やかではないが、一応それらしく飾られたコーナー。
「ホワイトディは当店で!」と書かれたポップの下には可愛らしい水色であふれている。

「何で水色なんだ?」

先月まで真っ赤なハートで埋まっていたコーナーの一角がいつの間にかの様変わりをしていた。
水色の可愛いハートの風船の前には、かわいらしくパッケージされたお菓子たちが並んでいる。
ぬいぐるみや可愛いマグカップなどとセットになっているものが次々と目に付いてしまう。
そんなもの、今まで目に付いたことがあっただろうか・・・。
その脳裏に浮かぶのは・・・・あの「部下」の笑顔だ。

徳用チョコ一個へのお返しにしては目立ちすぎるし、第一にだ、どこでどんな顔をして渡せっていうんだ。

いやいやいや・・・・いやいやいやい・・・・

しばらくして堂上は自分に向けられた視線に気がつく。
ちらりとその気配に視線を合わせると、そこにはベビーカーに赤ちゃんを乗せた主婦がおり・・・堂上は軽く咳払いをして
その場を離れた。

(確かに、コーナーからちょっと離れたところから、引き締まった体格の、そこそこかっこいい男性が、
小脇にビールを一ケース抱え、反対にはカゴいっぱいのつまみを持ったまま、固まっていたら目が行くというものだろう。)

堂上は恥ずかしさにとらわれながら歩きだしたために、レジとは逆の方へいってしまった。
数歩あるいて間違いに気がついたが、そのまま、さもそちらに用事があるような顔をして歩いて回った。
いつもは通らない駄菓子やスナック菓子のコーナーの前を通りながら、いつもは目もくれないお菓子たちに目を向けていた。

そこには懐かしい、子どもの頃によく求めたお菓子が、殆んど変わらぬ顔のまま並んでいた。
「へぇ・・・・。」
ビールのケースを床におろし、軽くかが見込んで陳列棚を物色した。

「あいつにはこれぐらいがいいかもしれん。」・・・そんなことないですよう!とちょっとすねて膨れるほっぺを
思い描きながら、オマケつきのキャラメルの赤い箱に手を伸ばした。
それと、丸い筒に入ったカラフルなマーブルチョコレート。
その二つを手にとると、お菓子らしくないものを目の端がとらえた。

飴の花束。
レースが印刷されたセロファンで束ねられた棒つきの飴。
飴は5本で、飴の部分が黄色いセロファンでまかれて紙製の白い花びらがくるりと付けられていて。
マーガレットであろうか・・・しかし堂上にはマーガレットも雛菊もノースポールもカモミールも、
どれも見分けはつかないだろう。
それをついと手に取り、カゴのおつまみの大袋の重なる中にざっと突っ込んだ。

そして、今度は間違えずにレジへと向かった。




事務室の前の廊下を、足音たかくせわしなく近づいてくる足音。
そして元気よくあくドアの音。

そして

「おはようざいます!!やった!間に合った!」
今日も満面の笑みの元気娘。笠原の出勤だ。

「こら!笠原!お前は間に合えば良いってもんじゃないっていってるだろう!さっさとこっちへ来い!」
ドアのところにいた数人の隊員と談笑に入りかけた笠原を堂上が怒鳴りつけるのも、いつもの事務所の風景だ。

「はぁ~~い」と自席にバックをおき、中から手帳やらなにやらかにやら出すと、
バックをイスを引いたデスクの下に置くためにしゃがみこむ。
なれた作業なので顔はデスク高さのまま、腕だけでバックを置く。
デスクから肩に顔を寄せた、ちょっとばかり可愛いしぐさで動きが止まった。
ミーティングの用意をするフリをしてても、堂上はつぶさにその表情を見ていた。
みるみる喜びが充満していく笠原の瞳。

「わわわ!なにこれ!」

笠原のデスクの上の辞書とペン立ての間に、親しみのあるカラーのパッケージのお菓子が挟まっていた。

「わぁ~~!懐かしい!グ〇コとマー〇ルチョコ!」

その二つを手にとって立ち上がって喜ぶ笠原に、小牧が

「はい、これは俺からね」と何かを手渡した。

見ると可愛いウサギ柄の付箋のセットだった。

「徳用チョコの話をしたらね、こういうお返しもありだよってねって毬江ちゃんとね、話になって選んでくれたんだ」
「わぁ!可愛いです!早速笠原使わせていただきます!」

そうはちきれんばかりの笑みで答えていると、反対側から

「おい・・・ほらよ」と同期のそっけない声と共にデスクの上に何か置かれた。
見るとチ〇ルチョコが3個。

「3倍がえしな。柴崎にはこれ・・・渡しておいてくれ」と『期間限定☆イチゴアソート』という袋詰めのチ〇ルチョコが置かれる。

「これさ、あたしのってあそこのコンビニのレジ脇に置いてあるやつ?」
「あぁ、レジでみて思い出したから買った」
明らかに笠原のはオマケ感が強い。

「柴崎のは・・・」
「そんな感じの喰いかけを押し付けられたけどな、とりあえず完品を渡しとく」
「へぇ・・・」
あれ?じゃぁこれは?と口からこぼれる寸前で、
「ミーティング始めるぞ。」と班長の号令がかかった。

手塚も笠原もメモを取るために手帳に集中しており、
少し顔色のよくなってる班長と、それをにやにやと見つめる副班長には気がつかなかった。

笠原・手塚は巡回に出かけ、小牧も業務で席をはずしていた。
事務所に残っているのは、幸いにも副隊長と自分だけだ。
堂上はそっと机の下にある自分のカバンから取り出した小さな飴のお菓子を笠原のペン立てに刺した。
その作業は迅速で、ちょっと借りた文具を元に戻したぐらいのそぶりだ。

そのすぐ後に小牧が戻ってきた。
ちらりと笠原のデスクに目をやってから、
「はい、これ、ついでに業務部からの資料」と持ち帰ってきたファイルの山から堂上に一部を手渡す。
「ん。ありがとな」
「うん」

・・・・・・。

作業しながら手だけ伸ばして掴んだファイルがびくともしない。
なんだと顔を向けると、ファイルを掴んだままの小牧が満面の笑みでこちらを見つめている。
そしてちらりと先ほど堂上が笠原のデスクのペン立てに挿したものを見る。
そしてまた堂上の顔をみてにんまり・・・。
堂上はあきらめ顔で舌打ちをした。

「ちっ・・・いうなよ」
「なんで?いいじゃん。どうしてさっき一緒に渡さなかったのさ」
「どうでもいいからに決まってるだろ」
「ふぅん・・グ〇コもお前からだろ?」
「どうでもいいから離せ」

はいはいと手を離すと、小牧はそれ以上なにも言ってこなかった。
そのまま作業を続ける。

そうさ、どうでもいいんだ・・・どうでもな。


昼休憩のあと、一足早く事務所に戻り堂上はパソコンを立ち上げる。
起動を待つ間に、コーヒーが欲しくなり席を立った。
ふと笠原のデスクをみると、さりげなくペン立てに刺しておいた飴の花束が消えていた。
なんだいつの間に?どうしたんだ?気に入らなかっただろうか?
ここで笠原に、自分がやったあのお菓子どうした?と聞ければ世話が無い。
そこへ笠原がぱたぱたと事務所へ戻ってきては、机に着く前に堂上がコーヒーを淹れているのをみて、

「あ!私もコーヒー飲もうっと!」自分に微笑んでくる。
そんな笑顔の部下に対して自分が発せられたのは「ん」という一音のみで、そんな自分にもつくづくだなと落胆する。

落胆?そんなものするか。とにかくどうでもいいんだ。






数年後

官舎の一室では一組の新婚夫婦が荷解きをしていた。
キッチン周りは妻が、本棚やデスク周りは夫がやっている。
自分が梱包した物は、それぞれを分類してあるのだが、妻が自室から梱包してきた荷物は新聞紙のカタマリがぎゅうぎゅうに入っていて、開いてみないと何が入ってるのかわからない。
一応ダンボールには「デスク周り」と書いてあるが、写真立てやらマスコットやらアクセサリーなども入っているので、隙間につめた新聞紙かと思ってゴミ箱に放ったら、思ったより重い感触だったので、拾いなおして開くとガラスの置物が入っていて驚いた。
それからは妻の段ボールにつめられた新聞紙は全て広げることにした。
広げた新聞紙を無意識に重ねて伸ばしていたら、妻が「あ、やっぱり篤さんったら、そんなところもきちんとしちゃうんですね!」とか言って来た。
ここで「誰かさんが見境なく新聞をまるめこむからな」といいたい所だが、そうすると長くなりそうな予感がするので
「そうか?」とだけ返しておいた。
それだけでも満足そうに微笑んでキッチンへと向かう妻の後姿に、惜しい気持ちはやはりでてしまう。
とにかく今は片づけが最善だ。
ごろっとした新聞紙のカタマリをそっと開いていくと、ガラス製のペン立てにいろいろ刺したまま包んであった。
その中に懐かしい物を見つけた。

ピンク地に白いレースがプリントされたセロファンで束ねられた、小さい白い花束。
鉛筆と同じぐらいの背丈の棒の先に、小さく咲く白い花。
懐かしいなとつまみ上げたとき、妻が声をかけてきた。

「篤さん!ちょっと休憩しませんか?ねぇ?」
「おい、これ、まだもっていたのか?」
「え?あ~~~。へへ。ほらお茶淹れたし、手を洗ってきて!」とさっさと行く後姿があやしい。
手を洗って、まだ真新しいテーブルに着くと、そろいでもらった湯飲みにお茶が注がれる。

そして「こういう作業のあいまってさ、しょっぱいもんも食べたくなりません?」とせんべいの大袋をがさがさと空けている。
「おい、あの飴・・・あれ、飴だよな。まだ持ってたんだな」
「へへ~。篤さんがくれたってすぐ分かりましたから」
「アレ、あのまま置いておいて大丈夫なものなのか?」
「大丈夫よ飴だし、それに食べないもん」
「食べないのか?」
「うん」
「何でだ?」
「う~~~ん。食べても美味しくないし~~あはは、でもね・・・それよりも・・・なんというか、
キョウカンからなんか貰ったの初めてだったし・・・。
だからね・・・食べたらなくなるし・・・・。ねぇ?
ほら・・・勉強の励みにもなってたし・・・」

だんだんと真っ赤に染まりながら・・・ぼりぼりとせんべいを食べながら休み休みかわいいことを言い続ける妻。

「俺からだってわかってたのか?」
「えへへ~~」
「おい、もういいか?」
「ん?なんですか?」
「もうおやつはすんだのか?と聞いている」
「あ、はい、もういいな?」
「そうかそうか」
「じゃぁ片付け再開しますか?」
「しない」
「へ?」
「俺も補充する」
「何をで・・す・・か?」
「郁」
「はぁ~~~?ってうわぁ!」

すでに立ち上がっていた郁が逃げる前に捕まえて担ぎ上げる。
まぁその後は、俺が組み立てたベットの完成の程を、俺自身が確かめさせてもらった。
まだマットしか敷いてないが、まぁ良いだろう。


「ちょっちょっとまって教官!なんかせめて掛けるものください!ほら!あの包みに毛布が!ねえってば!!」

「無理。待たない」




ホワイトデーはどこだ???

~郁side~


あの日、巡回から事務所に戻ってくるとペン立てに飴がささっていた。
懐かしい。
子どもの頃によく買ってもらった飴の花束だ。
花束っていっても花に見立てた小さな飴が5本束ねられている。
食べてもあまり美味しくないけど、ちょっとかわいい。
一体誰が?
「笠原、ちょっといいか」
老眼鏡をちょっとずらしたままの副隊長が笠原を呼んだ。
「あ、はい!」
「これな、昼休憩のときでもかまわんから、柴崎に渡してくれるか」
「柴崎宛ですか?」
「いや、それで戸塚に戻してくれって伝えてくれ」
「はい!戸塚さんですね」
「あぁ・・・それは菓子か、本物かと思った」
笠原はまだ飴をもったままだった。
「そうです飴ですよ。本物に見えました?」
「あぁ、堂上にしては花なんて珍しいなっと・・・」
え??教官がぁ?なんで???
と口から出る前に「内緒な」と副隊長に微笑まれてしまった。

そのまま席に戻り、形が崩れないように飴はバックの中にしまった。
それからその花束は自室の机の上のペン立てが定位置になった。
本当はマーガレットなんでしょうけど、紙製の白い花びらがどこかいびつで短くて、
ちょっとカミツレみたいだなと思った。

結婚して官舎に移ったけど、やさしい旦那様はその花束をペン立てに刺して、
新しい場所にも定番の位置を作ってくれた。

「飴に虫がわいたら新しいのを買ってやるから安心しろ」
「ほんっとに一言多いよね!」


終わり

(2014・5/20修正)





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旦那もち子もち主婦。 明るい自閉症児家庭を築いている天下の器用貧乏。 心は16歳と言い切る図太さをもつ。 基本的にアレルギー体質。 右と左を間違える。 「ず」と「づ」の使い分けが巧くない。 埃じゃ死なない。喘息にはなるけど。
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